製作編9
アンプ基板のシャーシ実装が終わったので今回は電源回路の実装を進めます。
改造の方針
前の記事でも紹介しましたが、現行電源のトランスは非力なため、バランスボリュームの電源で採用したトロイダルトランスに変更します。電源回路もバランスボリュームのものを踏襲し最低限納得できる状態にします。
電源回路
簡単に設計をおさらいします。回路はバランスボリュームの電源と同じです。今回バランス変換の設計を途中で変更したことでアンプ部はバランス動作となり、理想的には電源電流は一定(直流)となりました。言い換えると負荷変動がないため、出力電圧のフィードバックはかけていません。一部欲がでてしまい、部品を変えたことで前回と同じ実装ができませんでしたが、詳細は組立の中で紹介します。
電源回路実装
入力側から実装を開始します。全波整流、平滑部までは部品を含めてバランスボリューム電源と変わりません。ハンダ面の作業用に2カ所20mmのスペーサーを2段積みとして取り付けました。ハンダ面の作業時は平滑用電解コンデンサと3点支持となり、安定した作業ができます。
次にツェナーダイオードを使った基準電圧生成部ですが、バイパス用の電解コンデンサとして、ニチコンFGタイプの代わりにニチコンMUSE_KZを購入してしまいました。どちらも470uF/25V品ですが、ハイグレードを唱うKZ品の方がサイズが大きくなっています。
下表はKZとFG品の仕様比較結果です。
仕様の中でtanδについて補足します。KZは、0.12(120Hz)、FGは0.14(120Hz)となっています。これは、規定された周波数における無効電流と有効電流の比率を表し、この値が小さい程理想的なコンデンサの動作をします。図はコンデンサの等価回路で、漏れ電流等の損失分を抵抗で表しています。tanδは電流の虚数部と実数部の比で値が小さいほど損失が小さく、理想コンデンサに近い動作となります。
基準電源バイパス用コンデンサは、+/ーの各電源に1つ必要なため、トータル4個を実装します。基板上に並べてみたところ、なんとか実装できそうなのでこの選択で進めます。バランスボリュームでは、出力のバイパス用のコンデンサとしてあとからMUSE KZ 100uF/25V品を追加しましたが、今回は最初から実装します。悪い癖で、リピートの製作ごとに部品をごてごてと追加してしまいます。シンプルな方がいい場合もある事を、肝に銘じておきたいとおもいます。この変更の結果出力段のトランジスタの向きを変えざる得なくなり、バランスボリュームの電源部品実装と大きく変わってしまいました。
通電確認
全波整流回路の評価にはなりませんが、トランス出力のピーク電圧に相当するDC電圧(+/-16.8V)をユニバーサル電源を使って入力して動作確認を行います。その際の各部の電圧は以下のとおりです。
別チャンネルの回路実装
引き続き残りのチャンネルの実装を行います。見栄えを考慮して基板上の配置が均等になるように位置出しをしました。バランスボリューム時の電源実装と比較のために両実装の写真を掲載します。ご覧いただくと、これ以上実装サイズが増える変更はできない状態となったことがわかります。
■バランスボリューム電源実装
■バランス変換ボリューム2電源実装
参考としてハンダ面の写真も掲載します。
残りのチャンネルの通電確認
先のチャンネルと同様にDC電圧を供給して通電確認を行いました。確認結果は以下のとおりです。
先のチャンネルとほぼ同等の結果となっていました。これで基板の製作が全て完了しました。次回はこの基板とトランスをシャーシへ実装して音の確認を行います。
つづく(製作編10)