マルチアンプ実験4(修理編2)

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修理編2

A級BTL_DCパワーアンプのヒューズが飛ぶ原因の絞り込みを続け、原因の特定を行い修理をします。

終段用トランスの確認

前回ヒューズが飛ぶ直接の原因として、終段用電源基板またはトランスまで原因の絞り込みを行いました。次はトランスの確認を行うために終段用の電源基板を取り外してトランス単体で電源を入れてみます。狭い空間に基板を詰め込んだため、メンテナンス時の作業性が悪いです。基板への配線も全てハンダ付けされていることも、作業性の悪さに拍車をかけています。それでもなんとか基板を取り外しました。

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この状態でヒューズが飛べばトランスの巻き線の絶縁不良ということになります。ヒューズを交換して確認を行います。コンセントを入れるとLEDが赤く点灯します。SWを入れます。緑のLEDの点灯回路は終段の電源基板上にあり、それを取り外しているためLEDは消えますが、終段用のトランスから軽い唸り音が聞こえています。念のためトランスの2次巻き線の電圧を確認します。出力が確認できてヒューズは飛んでいないため原因は終段用の電源回路と特定できました。

終段用電源

終段用電源は、物量を投入しましたが単純な回路です。

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初めに外観の確認をします。写真のとおりほぼ電解コンデンサ用の基板ですが、外観上は特にショートにつながるような異常は見あたりませんでした。

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故障個所の特定

大容量の電解コンデンサがついているので、テスタで抵抗値を計ってもショートの判断が難しいです。しばし考え、ユニバーサル電源の電流リミッタ機能を利用して電源を入れてみることにしました。手始めに電流制限値を0.5Aとして+/-3Vの電圧を入力してみました。最初にA点に+3V, B点に-3Vを入力してみます。

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電解のチャージアップが完了すると殆ど電流は流れませんでした。念のため定格の電圧(+/-8V)まで電圧を加えてみましたが問題ありませんでした。次に入力を反転させ、A点に-3V, B点に+3Vを入力します。ようやっと現象が再現しました。0.5Aの電流制限が働き、入力電圧は1.23Vまで下がっています。

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この結果から、現象発生時にブリッジダイオード内の4個のダイオードのうち、逆バイアスがかかっている1個ないし2個がショート破壊していると考えられます。早々にブリッジダイオードを交換します。(本記事のアイキャッチ写真参照)

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このブリッジダイオード(D4SBS6)は、ショットキーバリアダイオードブリッジで、フィン無しで2.3Aまで耐えられます。尖頭サージ順電流定格は60Aで、合計100,000uFの電解コンデンサの突入電流に耐えられない可能性を考慮して、製作時に予備と、さらに1サイズ上のものも購入してありました。今回は予備を使って修理を行いました。

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修理後の動作確認をユニバーサル電源を使って行います。方法は先の故障確認時と同様です。念のため+/-13Vまで電圧印加して問題ないことを確認しました。

■確認1

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■確認2

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今回修理はここまでで時間切れです。続きは次回に紹介します。

おまけ

ビバホームでガラス管ヒューズを探していた時に、端末保護キャップというものを見つけたので購入してみました。

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材質は軟質塩化ビニール製で、透明なものと黒の物があります。内径が2.0mmから0.5mm刻みでラインナップされていたので、黒を3種類買ってみました。価格は10個セットでそれぞれ189円です。スタッドを脚代わりにしてネットワークをスピーカーの上に載せていますが、キズ防止のために段ボールを敷いていました。このスタッドのネジ部のカバーとして使用し、キズ防止とできないか確認します。最初に内径3.0mmのものを被せましたが、緩くてはずれてしまいました。次に2.5mmを被せたところいい感じだったので、長さをスタッドのねじ部分に合わせて切断し被せてみました。いい感じに収まりました。これで見栄えに問題あった、スピーカー上の段ボールを取り去ることができます。

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つづく(修理編3)