A級バランスHPアンプ製作(製作編6)

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製作編6

プリアンプ基板の製作が終わったので、HPアンプ基板の製作を開始します。

部品の準備

製作用の部品は、早いタイミングで一気に注文することにしています。全て通販で準備していますが、送料がばかになりません。購入漏れした場合、漏れたもののみの発注をすると、対象部品にもよりますが部品代よりも送料の方が高くなる場合もあります。普段使用する注文先は、秋月電子、マルツオンライン、共立エレショップ、アマゾンですが、荷物が届いてすぐに内容を確認すればいいのですが、忙しさを理由に使う直前までほったらかしの事が多く、今回もHPアンプ基板製作の直前に部品確認を行ったところ、ミスが発覚しました。下記が発注時に使用した部品リストです。

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発覚したミスは、500Ωと2KΩの半固定抵抗の数量が1アンプ分しかカウントされていませんでした。手持ち在庫対応可能としていた7.5KΩの抵抗も在庫がありませんでした。半固定抵抗は、ステレオ分として2倍注文した事から片チャンネル分はあるので、製作に影響なく追加発注がかけられます。7.5KΩの抵抗(初段の基準電圧生成用ツェナーダイオードのバイアス電流用)ですが、在庫のある抵抗値に設計変更することで対応することにします。電流値を上げるべきか下げるべきかを決めるために、データシートを確認しました。

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現状の設計の場合Izは0.92mA((12-5.1)/7.5)です。今までツェナーダイオードの電流値はあまり気にしていませんでしたが、特性図から定電圧特性上はもう少し電流をながすべき事がわかりました。手持ちの在庫を確認して4.7KΩに変更することにしました。この場合の電流値は1.47mAとなります。変更後の回路図を改めて掲載します。

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HPアンプ電源ライン実装

初段とバイアス回路を除く2段目までは従来製作したアンプと共通の配置とします。製作の手順も従来の手順を踏襲します。始めに2回路分の+/-の電源線を引いてエリアを2つに分割します。線材は0.65mm単線の芯線を使用しました。

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続いて電源入力用の3極の端子台と各電源ラインに100uF/25のFineGoldと0.47uFのフィルムコンデンサパスコンとして実装します。さらに電源の端子台と各電源ラインを接続します。

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初段の実装

アンプ回路は初段のプラス電源側に接続される部品から実装します。初めにオフセット調整用の500Ωの半固定抵抗、初段の負荷抵抗を実装します。次にカスコード接続用のトランジスタを実装します。このトランジスタのペア選別ですが、後々の事を考えてコンプリメンタリペアになりにくい物を選択します。下表は2SC1815GRのhfe測定結果一覧です。

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表中の水色の網かけは、コンプリメンタリペア用に予約したトランジスタを示します。今回は、hfeの値が小さい範囲にまとまった分布があり、このレンジの特性ではコンプリメンタリペアになりにくいと考えられるため、hfeの小さい順に選別していくことにします。今回はNo.39とNo.40のトランジスタを選択しました。トランジスタの実装は、後々の交換を考えて足を曲げずに(ストレート)ハンダ付けしてゆきます。故障の可能性がほぼない、抵抗などのリードは、できる限り回路の配線に利用します。続いてカスコード接続の基準電圧生成用のツェナーダイオード、dual J-FET実装用の8pin dipソケットを実装します。次に実装する定電流源用のトランジスタは、ペア等の特性の要求がありません。先ほどのhfe測定結果の再確認をします。使用済みのものは、灰の網かけをしています。この一覧からペアにならない個体No.2を選択しました。

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基準電圧生成用のツェナーダイオード、電流設定用のエミッタ抵抗を実装して初段は完成です。

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2段目実装

こちらも+電源側に接続される部品から実装を進めます。初めに差動アンプの電流設定用の2KΩの半固定抵抗を実装します。続いてPNPトランジスタのペア選別をします。PNPと同様に後々コンプリメンタリペアになりにくい物を選択します。下記がhfe測定結果一覧ですが、NPNと同様に水色の網かけがコンプリメンタリペア用に予約されたトランジスタを示します。

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私の設計するアンプでは、PNPが単品使用されないので、最低でもペア選別されないと、ずっと売れ残ってしまいます。幸い単価が安いので当面対応は考えない事にします。今回はトランジスタはNo.32とNo.6を選択しました。次に負荷抵抗27KΩを実装したところで実装を一旦中断し、実装部品の配置の検討をします。

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次回は終段用バイアス回路、ドライバ、終段と実装を進めていきます。

 

つづく(製作編7)