A級バランスHPアンプ製作(製作編17)

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製作編17

フロント・リアパネルの加工が終わったのでボトムシャーシの加工を行います。

ボトムシャーシ

ボトムシャーシの基板取り付け面のサイズはW314xD230です。初めに加工完了したフロントパネルとリアパネルを取り付けて基板の配置検討を行いますが、その前にボトムシャーシの前後を決めます。寸法が前後非対称となっているのは、フロントとリアパネル取り付け用のネジ穴の位置です。一方はパネルを取り付けた際に、シャーシ端とパネルの面がほぼ一致する位置にねじ穴が開いています。反対側は、シャーシ端から少し入った位置にパネルが固定される様にネジ穴が開いています。過去の製作合わせて、正面パネルが少し奥に入る向きにシャーシの前後を決めました。

■シャーシ前

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■シャーシ後

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この状態で部品の取り付け位置を検討します。

ボトムシャーシ設計

ボトムシャーシに取り付ける部品は、ヘッドフォンアンプ基板が2枚、プリアンプ基板と電源基板がそれぞれ1枚と、電源用のトロイダルトランス1個です。それぞれの部品を実際に置いて配置を考えてみます。考慮するポイントは以下のとおりです。

・信号の流れ

トロイダルトランス漏洩磁束による影響

・各基板の端子台への配線

基本的な配置は、正面から見て左に電源基板を置き、その右にプリアンプ基板を、一番右側にヘッドフォンアンプ基板を前後に2枚並べたいと思います。その際の電源基板とトロイダルトランスの前後方向の配置として2通りありますが、具体的に並べて検討してみます。

配置案1

トロイダルトランスを前側に配置します。この場合の特徴は、信号が「電源」→「入力信号」→「プリアンプ出力」→「ヘッドフォン出力」と素直に流れます。気になる点としては、トロイダルトランスと4連ボリューム間の電磁気的な干渉です。

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配置案2

配置案1とは反対に、トロイダルトランスを後ろ側に配置します。この配置はステレオプリメインアンプに多いパターンです。アンプ基板への電源供給を少し離れた位置から行う点が特徴です。懸念事項は、トロイダルトランスと隣接するプリアンプ基板間の電磁気的な干渉です。

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配置の決定

判断のポイントは隣接するトロイダルトランスの影響をボリュームとプリアンプ基板のどちらの方が受けやすいかという点です。ボリュームの抵抗は2kΩ、プリアンプの入力抵抗を10KΩとしている事から、プリアンプへの影響の方が大きいと考えて配置案1で進める事とします。

基板の固定

基板の向きは、信号が自然に流れる観点で決めます。固定は10mmの金属スタットを使いますが、スタッドの位置を未実装基板を使って現物合わせで決めます。未実装基板をボトムシャーシに置いて、取り付け穴のセンターにマジックで印を付けていきます。基板4枚ともに印を付けたら、次にトロイダルトランスの取り付け穴4点のセンターにも印を付けます。次に、マジックで印を付けた位置をポンチで叩きドリルで穴開けします。最初に2mmの穴を開け、3.2mmに広げます。合計20箇所に3.2mmの穴を開けました。

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スタッド取り付け

基板1枚ごとにスタッドを取り付けて正しく基板が固定できることを確認していきます。スタッド4本を緩く取り付けて、その状態で基板固定用のネジ4本が締められるかを確認します。基板4枚の固定確認で、そのまま4カ所ねじ締めができたのは1枚で、残り3枚は4本中の3本のみ締めることができました。締めることのできたスタッドをしっかりと固定し、締めることができなかったスタッドは外して、穴をヤスリで削ってスタッド位置をずらします。

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3枚の基板のスタッド位置の調整を行い、全てのスタッドを固定しました。

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トロイダルトランスの固定も3mmのネジを使いますが、固定用の板金の穴径が大きいため丸座金を使います。

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全ての部品の取り付け準備が終わったので実際に基板を取り付けてみます。ケースサイズを大きくした為、余裕のある実装となりました。手前側のセンターに空きスペースがありますが、フロントパネルに取り付けた4連ボリュームがここに入ります。

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次回、取り付けた基板およびトランスの配線を行います。

 

つづく(製作編18)