安定化電源製作(評価編5)

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評価編5

ポケットオシロ用プリアンプの回路定数を決めて、実装を行います。

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プリアンプ定数決定

前回の記事で回路を決定しましたが、定数を決定して実装を開始します。

AC入力のカットオフを10Hz以下とするため、手持ちの部品在庫を見ながらCRフィルタをC=0.47uF, R=100KΩに決めました。カットオフ周波数は以下のとおりです。

f=1/(2 x π x 0.47 x 10^(-6) x 100 x 10^(3)) = 3.4 Hz

保護用のダイオードはジグ回路製作用に購入した1N4148を使用します。オペアンプは在庫の中からFET入力で特性が良好なMUSES8920を選択しました。後段のアンプは10倍のゲインとするために、1KΩ, 8.2KΩの抵抗と, 2KΩ/B半固定を組み合わせます。決定した定数を回路に反映しました。

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入力には3極の端子台を使い、CRフィルタをバイパスしたDC入力端子も設けます。

プリアンプの実装

先に製作したジグ基板の右半分へ実装します。大物部品の0.47uFフィルムコンデンサオペアンプ用のDIPソケットの位置を決めてから配線を進めます。後段の帰還ループ内に半固定抵抗が入りますが、帰還ループが大きくならない様に実装を行いました。電源は先に実装したジグ回路と共用します。

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プリアンプ通電確認

先のジグ回路通電時と同様に、まずはオペアンプを刺さずに確認を行います。オペアンプ用ソケットの各端子電圧に問題無いことを確認しますが、なぜかDC電位がおかしいです。配線を確認したところ、GND配線がされていない事に気づきました。早々に、ジグ用電源の端子台のGNDからプリアンプ入力端子台のGNDへ配線を追加しました。今まで電源系の配線忘れのミスは比較的多く、注意していきたいとおもいます。

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次はオペアンプを刺して改めて電源を入れます。

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各端子電圧に問題ない事を確認したら、ゲイン調整を行う為に入力に発振器を接続して入出力波形をポケットオシロで観測します。周波数を1KHzに設定して入出力波形を比較しますが、ゲインが想定よりも低くなっています。不思議に思い基板を確認したところまたもやミスが発覚しました。帰還抵抗として8.2KΩを実装すべき所に1KΩが実装されていました。(上記の写真)今回はミスが多い事を反省しつつ抵抗を載せ替えて改めてゲイン調整を行います。入力を0.8Vppとして出力が8Vppとなるように帰還ループの半固定抵抗を調整しました。

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プリアンプ周波数特性

念のためプリアンプの周波数特性の確認を行います。初めにAC入力の特性確認を行います。グラフはAC入力とDC入力の周波数特性の測定結果です。

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結果を見ると10KHz以上の帯域でゲインがやや上がっていますが、オペアンプの裸位相特性による影響と考えられます。低域はAC入力のカットオフ周波数が設計値よりもやや高くなっているようです。実装を再確認しましたが、ミスも見つからず原因がわかりません。入力保護に入れたダイオードの特性が気になり外して確認してみました。結果は以下のとおりです。

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10Hzで0.76dBの差があり、原因は保護用ダイオードと特定できました。この程度であれば影響は小さいので影響を理解した上で保護を元通り戻すこととします。せっかくなので影響の仕組みについて考えてみたいとおもいます。グラフはダイオードのデータシートからの抜粋です。

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このグラフからダイオードカットオフ時の等価抵抗を読みとると以下のとおりです。

ZR = 10V / 15nA = 670KΩ

ZF = 0.5V / 0.1mA = 5KΩ

この結果からはもっと大きな影響が出るように思えますが、なぜかそこまでの影響は出ていません。影響は1dB以下なのでこれ以上深追いしない事にします。次回は、作成したプリアンプを使って安定化電源負荷時の電圧変動がモニタできるか確認してみます。

 

つづく(評価編6)