安定化電源製作(評価編10)

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評価編10

3つの電源をチャンネルデバイダに搭載して音質の比較を行います。

3つの電源

音質比較の前に特性の測定を行う事も考えましたが、その結果により先入観をもって音質比較することに成るので先に音質比較を行う事にしました。音質比較を行う3つの電源について簡単におさらいします。

■定電圧方式電源

チャンネルデバイダオリジナル状態で搭載している電源です。回路は以下のとおりです。

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元々A級バランス方式のアンプの電源用に設計したものです。ツェナーダイオードの定電圧をトランジスタで電流増幅しています。積極的なフィードバックがかかっているわけではないので、出力インピーダンスは他方式と比べて不利ですが素直な特性が得られます。A級バランス方式のモノラル用のアンプの電源電流は理想的には一定となるので、出力インピーダンスの影響を受けにくい事を前提とした設計です。しかし、チャンネルデバイダで採用したオペアンプはA級動作をしているわけではないのでこの方式の電源は不利と考えられます。

■三端子レギュレータ採用安定化電源

三端子レギュレータは、比較的小容量の電源を構成する場合、お手軽な方法です。今回は正負ともにJRCの1.5A品を使っています。

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出力には普段の使用時と同様に100uFの電解コンデンサを接続しています。三端子レギュレータ採用電源の音の私の印象は「良くも悪くもない」ですが、ディスクリート方式の電源との比較が楽しみです。

ディスクリート方式安定化電源

トランジスタを使用した一般的な安定化電源回路で、出力段にはサンケン電気の2SC3851A/2SA1488Aを使用しています。コレクタ電流の定格は4Aです。出力保護回路を搭載していないので、出力をショートすると即座にトランジスタが飛ぶので注意が必要です。

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音質比較

音質の比較を行います。比較の方法はオリジナル状態(定電圧方式)で試聴ディスクを初めに聴きます。

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次に三端子レギュレータ方式の電源に載せ替えて音を聴きます。

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周辺部品とのクリアランスの考慮をしないで部品配置をしてしまったため、ヒートシンクとヒューズホルダの端子間のクリアランスが殆どありませんでした。仕方がないので、ヒューズホルダの端子を折り曲げてクリアランスを確保しました。

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最後にディスクリート安定化電源に載せ替えて音を聴きます。

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音質比較は載せ替え後の音の印象となります。

三端子レギュレータ電源

初めにBJ ONEから「はげ山の一夜」です。第一印象は音が派手に聴こえます。ブラス(高音)の抜けがいいです。音がオン状態で聴こえる為か、奥行き感が後退したように聴こえます。次にBJ TWOから「夢のマルディ・グラ」です。出だしのドラムの音に張りが感じられます。ベースの音がクリアで弦楽の響きも美しいです。

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次は井筒香奈恵LINDEN BAUMから「氷の世界」です。ボーカルがオン状態で聴こえ、声に暖か味が感じられます。2曲目の「無意識と意識の間で」では、ピアノの響きが美しいく聴こえます。以上が定電圧電源を比較元とした三端子レギュレータ電源の音質比較結果でした。

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ディスクリート安定化電源

BJ TWOの「夢のマルディ・グラ」を聴きます。中域の響きが美しいです。音の分離が良いからか、いままで意識に留めなかった楽器の音が聴こえます。重低音域まで素直に伸びている印象です。次にBJ TWOから「アルルの女」を聴きます。三端子レギュレータ版に比べてブラスの音が耳につかない印象です。エレキギターの音の分離がいいです。最後に井筒香奈恵LINDEN BAUMから「氷の世界」を聴きます。ピアノの音の響きがきれいです。ボーカルが比較的オン状態ですが、奥行き感もあります。

三端子レギュレータとディスクリート比較

改めて1枚のディスクで2つの電源の音の比較をします。音源は八神純子ベストセレクションから「夢見る頃を過ぎても」です。

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最初に三端子レギュレータ版で音を聴き、ディスクリート方式の安定化電源に切り替えて音の印象を確認しました。先の印象と同じで中域の音の分離が良く、小音量の楽器の音がきれいに鳴ります。三端子レギュレータ版のボーカルは前へ出ますが、ディクリート方式は程良い奥行き感があります。

まとめ

私の印象は、ディスクリート版安定化電源の音の方が良く聴こえました。当面チャンネルデバイダの電源はディスクリート版安定化電源としたいとおもいます。次回は3方式の電源の特性比較をする予定でしたが、ちょっとしたトラブルが発生したので番外編をはさみます。

 

つづく(番外編16)