女神たちの争い(構想編2)

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構想編2

前回紹介したMUSES03を使ったチャンネルデバイダを具体的に構想します。

チャンネルデバイダ

今回の製作も、前回の「安定化電源製作」と同様に基板載せ替えの改造となります。安定化電源製作では、チャンネルデバイダの電源基板を載せ替えましたが、今回はフィルタ基板を載せ替えて、音質の比較を行います。現状のチャンネルデバイダの回路は以下のとおりです。

■フィルタ回路

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■電源回路

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フィルタ回路は、入力をボルテージフォロワで受けてその出力をベッセル特性のアクティブフィルタへ入力します。バランス方式を取っているので片チャンネル当たりHotとColdの2系統で、現行の回路は2回路入りのMUSES01を2個で構成しています。構想編1でも紹介しましたが、MUSES01のオペアンプとしてのスペックは今一つなので、アクティブフィルタ用途としてはどうかと?考えていました。今回はボルテージフォロワ部はそのままMUSES01とし、アクティブフィルタのみ、MUSES03に変更した基板を製作します。あまり代わり映えしませんが、オペアンプを変更した回路図も参考に掲載します。

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セミマルチアンプシステム

アクティブフィルタ回路のおさらいの前に、このチャンネルデバイダが組み込まれるシステムについて簡単に説明します。スピーカーはヤマハのNS-1000Mをマルチアンプ対応に改造しています。具体的には、ネットワークと一体になったオリジナルのターミナルを取り外し、代わりにウーハー、スコーカー、ツイーター専用のターミナルをもうけています。

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現行のシステムは、ウーハーのみパワーアンプと直結し、スコーカーとツイーターは取り外したオリジナルのネットワーク回路を介して接続しています。下図はこのシステムのブロック図です。

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ウーハーの駆動は、モノラルA級バランス方式DCパワーアンプを、スコーカーとツイーターの駆動には、バランス方式EL34プッシュプルパワーアンプを使用しています。従って、チャンネルデバイダの出力は、LPF出力とスルー出力2系統となります。

アクティブフィルタ回路

NS-1000Mのウーハー駆動用なので、オリジナルのネットワークに合わせて、カットオフ周波数を500Hzとしています。下図がこのチャンネルデバイダで採用したSallen-Key2次のアクティブローパスフィルター回路です。

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フィルター定数は、K=1.4としてベッセル特性としていますが、定数の決定には以下の式を使用しました。

fc = 1 / (2π x C1 x R1)

R2 = K x R1

C2 = C1 / K

fc = 1 / (2π x C2 x R2)

選定した定数でカットオフを計算し直すと、カットオフ500Hzに対して若干周波数が低くなっていますが、目をつぶっています。

フィルター回路基板

写真は、現行のフィルター回路基板の片チャンネル分です。

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3極の基板端子台が4個搭載されていますが、左上が電源入力で、その右が信号の入力、左下がLPF出力で、その右がスルー出力です。今回製作する基板の端子台もこの配置に合わせます。オペアンプが2個実装されていますが、写真上がボルテージフォロワ用で、下がアクティブフィルタ用です。どちらもMUSES01が実装されていますが、下側のオペアンプをMUSES03x2個で置き換えます。アクティブフィルタ用のCR実装は、定数の変更を考慮して基板ポストに取り付けています。1系統当たりCが2個、Rが2個ですが、この実装方法も踏襲します。本記事のアイキャッチ写真が現行のチャンネルデバイダですが、3枚の基板のうちフィルタ回路基板2枚を載せ替えて音質の比較評価を行います。次回は部品を揃えて実装を開始します。

 

つづく(製作編1)