実験バッテリードライブ(評価編1)

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評価編1

バッテリーを最低限安全に使える環境を整えて、バッテリーの特性測定を行います。

環境構築

今回は音質比較のための実験を想定していて、今のところ常用する事は考えていません。とは言え、ショートのリクスを極力減らす必要があり、電力供給用のSW基板を作成する事にしました。配線の順番を決めることでショートのリスクを減らします。回路はいたって簡単で、バッテリー2個接続用に2極の基板端子台を2個と、2回路のSWおよび、アンプへの電源出力用に3極の端子台を取り付けます。平行して本格運用のために、バッテリー用のXLRコネクタのオスメスを2組と、ヒューズフォルダ付きの電線の手配を念のためしています。

電力供給用基板

標準基板に2回路SWの取り付け用の穴を開けます。最初にドリルの刃で4mmの穴を手作業で開けて、その後ステップドリルの刃で穴径を広げます。最後にヤスリで整えます。

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SWおよび基板端子台を取り付け、最初にGNDラインを配線します。バッテリーの性能を生かすために、GND配線にはφ1.0mmのポリウレタン線を使用しました。

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この電線はポリウレタン被覆を剥がさなくてもハンダ付けできるとの触れ込みですが、私の使っているコテでは、容量が小さく長時間炙らないと被覆が溶けず、ハンダがうまくつきません。仕方がないので事前に被覆をヤスリで削ってハンダつけしています。

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簡単な基板ですが、こんな感じに仕上がりました。

バッテリーの充電

ネット上の商品説明には、到着後にすぐに使えると記載されていましたが、お客様のレビューには充電しないとセルモーターが回らなかったとの書き込みもあったので、使用前に念のため充電することにしました。車のバッテリー充電用にチャージャーを持っていたので、それを使います。

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2個供に充電を行いました。比較的短時間で充電器のパイロットランプが消灯したので商品説明のとおり充電された状態で出荷されたと考えられます。充電前後の解放電圧は以下のとおりです。

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特性測定

「安定化電源製作」記事で紹介した方法でバッテリーの特性測定を行います。測定用のジグもその際に製作したものを使用します。参考に回路図を再掲載します。

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■負荷電流vs出力電圧特性

初めに、負荷電流vs出力電圧測定を行います。測定条件は「安定化電源製作」で行った方法および条件に合わせて、現行のチャンネルデバイダーに搭載されている安定化電源の特性と比較します。先に紹介したジグを使って負荷電流を0~50mAの範囲を5mA間隔で測定しました。測定結果は以下のとおりです。

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上記結果から出力変動電圧を算出してグラフ化してみます。安定化電源の測定結果も重ねてみました。

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予想以上に電圧変動しています。流れ出しは、負荷電流が増えると電圧が上昇していますが、電流を流すことで化学反応が活性化するためでしょうか?傾きから出力抵抗を算出してみます。グラフの直線領域からデータを拾って計算してみます。

等価抵抗 = (20 + 80)/(45 - 15) = 3.3Ω

定電圧電源の測定結果1.1Ωに比べても悪い値となっています。1Aの電流が流れると、3.3Vも電圧がドロップしたらセルモーターは回せるのでしょうか?それとも充電直後の電圧が落ち着く前に小電流側から測定したからでしょうか?別途改めて確認してみたいとおもいます。

■出力抵抗周波数特性

安定化電源評価時と同様に、負荷電流の平均値を40mAとして10mAから70mAの範囲で正弦波状に振って電圧変動を観測しました。測定周波数範囲は10Hzから100KHzです。参考として10Hzと1KHz時の観測波形を掲載します。

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黄色のラインが電圧変動波形ですが、プリアンプで10倍しています。定電圧電源評価時と同様に、結果をグラフ化してみます。

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この結果を電流の変化量60mAで割って、等価抵抗に変換します。

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結果を見ると、60Hz以上の領域は、安定化電源の特性とほぼ同等です。低周波数領域では、安定化電源より等価抵抗が大きくなっています。それでも先ほどのDC出力抵抗3.3Ωまで悪い値になるようには見えませんが、バッテリーが本領発揮するのは、もっと大電流領域でしょうか?正直なところ、安定化電源の特性に対して圧倒的なアドバンテージがあると考えていたので、出鼻をくじかれた感じです。今回測定は行っていませんが、ノイズ特性はバッテリーの方が有利と考えられ、その差が聴きとれるか音質比較の中で確認してみたいとおもいます。

 

つづく(評価編2)