2018オーディオフェスティバル(番外編20)

f:id:torusanada98:20180306211657j:plain

番外編20

前回に続き、2018オーディオフェスティバルをレポートします。

柳沢先生講演

f:id:torusanada98:20180306211719j:plain

講演のタイトルは「RCA845と250(ナス管)のカソードチョークドライブシングルアンプ聴き比べ」です。柳沢先生は、その講演の簡単なプログラムを配布いただけるので、メモを取る身としては大変助かります。

f:id:torusanada98:20180306211800j:plain

大半の音源がアナログレコードで、選択したアルバムに合わせてピックアップとイコライザーを切り替えています。スピーカーは前回紹介した金田先生の講演で使用されたものと同じ物が使われました。この講演ですが、昨年(2017年)10月に開催された真空管オーディオフェアのプログラムと近い事に気づきました。その時のタイトルは、「RCA845とWE300Bのカソードチョークドライブシングルアンプ聴き比べ」でした。他に気になるプログラムもあるので、途中で250(ナス管)に切り替えて4曲デモをする予定となっているので、そこまで参加してみる事にしました。写真は、両脇がRCA845のモノラルパワーアンプで、センターが250(ナス管)のステレオパワーアンプです。

f:id:torusanada98:20180306211858j:plain

RCA250は、送信管210のプレート抵抗値を下げてオーディオ用途に開発され家庭用、劇場用、PA用に広く使用されたとの事です。1927年頃から約6年間、大量に製造されましたが、その後WE300にとって変わったと説明されていました。RCA845のデモは前回のレポートに譲り、RCA250のデモ部分を紹介します。接続をRCA250ステレオパワーアンプに切り替え、電源を入れて音を出すタイミングでも真空管のヒーターの灯りが見えません。音が出ないかと心配しましたが、ちゃんと出ました。

f:id:torusanada98:20180306211944j:plain

写真は動作時のものですが、灯りがまったく見えません。一方、先の写真のRCA845は灯りが視認できます。

■C-Jam Blues/Clark Terry

f:id:torusanada98:20180306212028j:plain

鉄琴が印象的でアタックの音が鋭く再生されていました。ブラスの音も厚く楽しめました。RCA250パワーアンプで4曲のデモが行われ、接続をRCA845に戻すタイミングで名残惜しいですが退場させていただきました。

安井章先生講

f:id:torusanada98:20180306212110j:plain

講演のタイトルは「ディスクリートオペアンプIC半導体アンプ比較」です。スピーカーはFostexの16cmフルレンジユニット(FE-168EΣ?)とFostexのツイーターが採用された自作されたもので、マルチアンプ対応しています。

f:id:torusanada98:20180306212148j:plain

最初のデモは、オペアンプICを採用した7.5Wアンプでフルレンジを鳴らすものです。

f:id:torusanada98:20180306212237j:plain

このデモの趣旨は以下のとおりです。

・ネットワークは音に影響を与える。ネットワーク不要のフルレンジは有利

・理想設計のスピーカーほど、理論上ハイ上がり特性となるのでEQで高域を落とすとバランスがいい

オペアンプIC採用の7.5Wアンプでも低域の特性を十分取り、上記を考慮するといい音で鳴る

次のデモでオペアンプICアンプからディスクリートアンプへの切り替えでトラブルが発生し、復旧に時間がかかりましたが、今回のイベントの中で私が一番刺激になったデモが行われました。ウーハーとスコーカー、ウーハーとツイーター等のクロスオーバーのさせ方は、接続帯域のレベルを考慮して通常正相-逆相のクロスオーバーをしますが、それを瞬時に正相-正相に切り替えて比較試聴できた事です。

f:id:torusanada98:20180306212326j:plain

写真の両サイドがディクリートステレオパワーアンプで、センターが位相切り替え機です。デモの結果ですが、正相-逆相のクロスオーバーの再生音は定位が不明確で音がエンクロージャの中に閉じこめられた印象でした。一方、正相-正相のクロスオーバーは、定位が明瞭で音が前に飛び出して広がる印象でした。正相-正相のクロスオーバーでディップを出さないために、帯域をオーバーラップしてクロスオーバーさせているとのことです。最悪完全に重なったとしても+3dBアップだけで、正相-逆相クロスオーバーの弊害の方が大きいともとれる説明をされていましたが、カットオフ周波数を選べばレベル差を1dB程度までに押さえられるとの事です。私の使用しているNS-1000Mのウーハーとスコーカーは、元から正相-正相クロスオーバーされていますが、このような工夫がネットワークにされていたのかもしれません。今はウーハーのみ自作のチャンネルデバイダーでクロスさせているので、この講演を聞いて接続帯域の特性が気になりました。実はNS-1000Mのフルマルチアンプ化を考えて、周波数測定用の機材を昨年(2017年)末に揃えていましたが、未だ手を着けていません。このデモを聴いて特性測定を俄然やる気になりました。尚、この位相切り替え機は雑誌掲載予定との事なので掲載を楽しみにしたいとおもいます。安井先生はかなりのご高齢のようですが、年齢を圧してこのような講演を企画されるオーディオへの熱意に感銘を受けました。

f:id:torusanada98:20180306212412j:plain

まだまだいろんなイベントがありました(写真は読者によるデモ風景)が、同時開催で周りきれませんでした。次回開催を楽しみにしたいとおもいます。

 

おわり(番外編20)