製作編1
試作が終わったので、常用する基板の製作を行います。
常用基板
常用する基板は、AC12V2巻き線の出力を持つトロイダルトランスから電力供給します。ブリッジダイオードとニチコンのオーディオ用電解コンデンサKW4700uF/50V品で全波整流を行い、それを試作した安定化電源回路に供給します。電源基板の全回路は以下となります。
実装場所や、部品在庫の関係から試作時の回路からやや変更しています。それでは、全4チャンネルと全波整流回路を72x95mmサイズの基板に実装していきます。
実装準備
私が使用している標準基板には、スルーホールが36x27個あります。基板の長辺に4チャンネル分の回路を並べる為、1チャンネルあたりのスルーホールは9x27個となります。全波整流回路実装分に9個分を確保すると1チャンネル分に割り当てられるスルーホール9x18となります。試作基板では、1チャンネルあたり14x27個を使っていたので、かなり詰めた実装が必要です。(写真)
試作基板をじっと眺め、基準電源線を一番端に配線し、電源ラインを8列目に、出力を9列目として4チャンネル分を並べることに決めました。こうすると都合が良いことに、各チャンネル間に必ずGNDラインが配線される事になり、部品実装の自由度が上がります。この配置の欠点は、放熱器を偏った位置に配置する必要があり、一番端のチャンネル用の放熱器が基板から約2mmはみ出してしまう事です。
シャーシ実装上の問題はないので、このまま進める事としました。部品の実装エリアを稼ぐため、出力用の端子台は基板の一番端によせて、放熱器は端子台ぎりぎりまで寄せて取り付けました。
全波整流回路実装
前に製作した三端子レギュレータ版の電源基板の実装を踏襲しました。
平滑用の電解コンデンサは基板から約1mm程度はみ出して実装し、他の部品の実装スペースを確保します。写真はまねして実装した製作基板です。
写真の放熱器はボスで挿さっているだけなので曲がって基板に載っています。次に、入出力端子台のGND配線を行いました。この配線は、正電源ch1と正電源ch3のGND用配線と共用となります。
続いて、出力トランジスタを含む出力回路部分の実装を行います。正電源ch1は基板の右端のため、他のチャンネルに比べて放熱器右の実装スペースが広くとれます。他のチャンネルの実装も考えて、コンパクトに実装しました。
続けて残りの部品の実装も行います。VRとオペアンプソケットの位置関係は試作基板に合わせましたが、それ以外の部品は、とにかくコンパクトに実装ができるように工夫をしました。
ハンダ面は以下のとおりです。
じっくり考えたので、被覆ジャンパー線は使わずにすみました。これに位相補償用のセラミックコンデサ470pFをオペアンプ入出力端子間に取り付けて完成です。
正電源ch1通電確認
オペアンプを取り付けて通電確認を行います。基板への電源供給は、トランスの代わりに、ユニバーサル電源から+16.9Vを入力しました。緊張しつつ電源オンしました。無情にも、ユニバーサル電源の過電流保護回路が働いています。電源を落として実装に間違いがないか見直します。複雑な回路ではありませんが、いくら見ても実装のおかしな部分が見つかりません。休憩を挟んで根本的な思い違いはないか確認したところ、あ!!、またやってしまいました。実装は正電源ですが、参照していた回路図が負電源用のものだった為、定電流ダイオードの向きが間違っていました。ツェナーダイオードは無意識のうちに正しい実装をしていました。先に掲載した部品実装写真のVR脇に立てて実装されているものが定電流ダイオードです。込み合っていて一番触りたくない部分でしたが、なんとか交換しました。気を取り直して通電再開です。出力電圧調整も正しく機能し、動作確認はなんとか完了しました。確認時の各部電圧は以下のとおりです。
次回は、今回実装したch1の矩形波応答と周波数特性の確認を行います。
つづく(製作編2)