安定化電源性能改善(まとめ編)

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まとめ編

製作した電源の特性のまとめを行い、載せ替えたチャンネルデバイダーの音質評価をおこないます。

特性改善結果のまとめ

音質評価の前に、今回の特性改善についてまとめをします。改めて新旧回路を掲載します。旧回路は各チャンネルトランジスタ3石(今はこんな言い方はしませんね)で構成しています。

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ループゲインが低く、かつトランジスタのCobの影響を受けやすい回路構成となっていました。これらを改善するため、ドライバにCobの小さなトランジスタを選定し、かつダーリントン構成をやめました。さらに誤差アンプにオペアンプを使用してループゲインをかせいでいます。

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特性比較まとめ

矩形波応答比較

波高値70mA(負電源観測時60mA)と10mA(負電源観測時0mA)1KHz矩形波状の負荷電流を流して出力電圧の応答をポケットオシロで観測しました。正電源はch1を負電源はch2の応答波形を代表して掲載します。左が旧電源、右が新電源の波形で、新電源の応答波形のみ、10倍のプリアンプを通して観測しています。

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各チャンネルの過渡応答値は以下のとおりです。

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全チャンネルで改善する事ができました。

■出力インピーダンス周波数特性比較

波高値70mA(負電源観測時60mA)と10mA(負電源観測時0mA)正弦波状の負荷電流を流して出力電圧の応答をポケットオシロで観測しました。観測周波数範囲は、10Hz~100KHzで、その結果を等価インピーダンスに変換してグラフ化しました。正電源と負電源の比較結果は以下のとおりです。

■正電源出力インピーダンス周波数特性

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■負電源出力インピーダンス周波数特性

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旧電源の結果は、ch1とch2を代表として掲載しています。今回製作した電源は、正電源は測定範囲全域で、負電源は可聴範囲全域で旧電源に比べて低インピーダンスとなっている事が確認できました。正負電源ともにファンダメンタル帯域の改善量が大きく取れている事が特徴です。

音質比較

電源を入れ替えたチャンネルデバイダーをシステムに組み込んで音質を確認していきます。毎度代わり映えしませんが、システムブロック図を参考に掲載しておきます。

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音を最初に聴いた感じは、大人しい印象です。このためボリューム位置をいつもよりもやや上げて聴きました。

■Take Me To The Mardi Gras/Bob James(BJⅡ)

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中域のブラスの分離が良く、余韻が消えるまできれいに聴こえます。低音の印象はかわりませんが、普段よりボリュームを上げた事で、中域の改善とバランスが取れているように感じました。出だしのドラムが生き生き鳴ります。

■海風/風(海風)

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出だしのアコースティックギターの音が暖かみがあり、リアルな感じで鳴ります。男性ボーカルも暖か感じで歌われます。

■冬京/風(海風)

ベースの音が素直に低域まで伸びます。ギラギラ感がなく、ベースの音がまろやかに聴こえます。

■卒業写真/井筒香奈江(RINDENBAUM)

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ボーカルの定位が良く、音像が明瞭です。比較的ボーカルがオンな感じを受けました。余韻もきれいです。

■When You Wish upon a Star/Kenny Drew(Special)

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ピアノの音がきれいに響きます。ギラギラ感が全くない為か、ハデさはありません。素直に鳴ります。

まとめのまとめ

音はハデさはなく、素直な感じです。評価の冒頭でも書きましたが特筆すべき点として、感覚的に従来と同じ音量で聴こうとした時のボリューム位置が上がった事です。電源の変更で、アンプのゲインが変わる事はありませんので、音の印象の差による変化と考えられます。さらに他の楽曲を聴いていくのが楽しみです。2018-4-15から全13回におつきあいいただきありがとうございました。

 

おわり(まとめ編)