2018インターナショナルオーディオショウ(番外編26)

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番外編26

前回に引き続きインターナショナルオーディオショウをレポートします。

今回の印象

昨年に比べて人出が少ない印象です。例年9~10月開催でしたが、今回は11月開催という事で、秋の行楽シーズンと重なった事が影響しているかも知れません。この人出で、開催がペイするか余計な心配をしてしまいます。

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写真は上層階から受付を見たものですが、人がまばらです。それでは本題に戻ります。

テクニカル オーディオ デバイセス ラボラトリーズ

言わずと知れたTADです。気になっていましたが今まで一度もブースを訪れたことがありませんでした。ネットの情報ですが、TADはもともとパイオニアのプロフェッショナルブランドでしたが、2007年に同社が設立されてブランドを引き継いだとの事です。昨年のショウで他のメーカーの試聴会でTADのスピーカーが使われていて、好印象だったため、後で調べた所、国内メーカーでは珍しくベリリウム製の振動板を採用している事を知り、今回ブースを訪ねることにしました。疲れてくる時間帯ですが、17日の15:00~「TADエンジニアによるTAD-E1TXデモンストレーション」に参加しました。

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デモのタイトルのスピーカーは、使用されたパワーアンプと同じく9月に発表された新製品です。2chパワーアンプを2台使用してスピーカーをバイアンプ駆動していました。送り出しは、同社のTAD-D1000MK2です。

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説明は、スピーカーエンジニアの長谷さんが行いました。TAD-E1TXは、TAD-ME1ベースでウーハーを2本としてトールボーイ化したものです。使用スピーカーもTAD-ME1と基本は同じですが、ウーハーはパラレル使用するためインピーダンスを上げて、かつ駆動力を高めているとの事でした。

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中高域は、ME1と同じCST(Coherent Source Transducer)が使用されています。クロスオーバー周波数も同等の420Hzと2.5KHzとの事です。ME1は、このCSTドライバとウーハーを近接配置させ、小型スピーカーのためバッフル面積が小さい事から定位の良さが評価されていたそうですが、そのままその特長を継承させる事に苦労したそうです。単純にWウーハー化すると音場が広がってしまい定位が悪化したそうです。改善すべくいろんな事をためされたそうですが、タイムアライメントをとる事で奥行き感が出せたとの事でした。具体的には、バッフル面を3°傾斜させてCSTドライバの位置を奥に移動させました。そのまま取り付けるとユニットが上向きになるため、正面になるように取り付けを変更しています。

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また、バッフル面積を少しでも減らす為、正面上部は曲率半径の大きなラウンド形状としています。このCSTドライバのミッドレンジは9cmマグネシウム振動板を、ツイーターは2.5cmベリリウム振動版を採用しています。高級機のミッドレンジとツイーターもベリリウム振動板を採用していますが、その振動板は銅製のベースにベリリウムを真空蒸着し、その後エッチングで銅のベースを溶かす手間がかかる真空蒸着法をとっているとの事ですが、このツイーターは、この方法を使わずにホイルを圧延して整形しているとの事でした。技術説明は、まだまだ沢山ありましたが、紙面が尽きてしまうので割愛します。長谷さんの説明は、このスピーカーの特長を余すところなく簡潔に、かつ経験の基づいた裏付けも含めて説明されたので理解しやすく好感がもてました。ここからは音の印象です。1曲目は女性ボーカルで、やさしくつややかに聴かせてもらいました。低音も十分出ていて、定位も良く品の良い鳴り方をしていました。最後の曲は、大野雄二のルパン三世のテーマ'80でした。学生時代にレコード板としてもっていたもののリマスタ曲のようです。私の全てのレコードは廃棄されてしまったので、大変懐かしく聴く事ができました。この曲でさえも品良く聴かせてくれました。

エレクトリ

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時間調整でフラリと入ってみましたが当たりでした。エレクトリはいろんな会社の製品を輸入販売していますが、一番有名なブランドはMcintoshでしょうか?入った時にはMAGICOのM3(スピーカー)のデモを行っていました。

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特長は、カーボンファイバー製のサイドパネル、内部補強用に組み込まれたアルミ削りだしのフレームが採用されていてエンクロージャの振動に拘って設計されています。写真は内部構造展示ですが、アルミフレームが複数設置されてエンクロージャが補強されています。

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ツイーターにはダイヤモンドコーティングされたベリリウム振動板が採用されています。このM3を同社が輸入するMcintoshのMC611モノラルパワーアンプで駆動していました。

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このアンプはクワッドバランス回路設計が採用され、同社アンプの特長である出力トランスで結合されて出力されているとの事です。出力は出力トランスでマッチングさせるため2,4,8Ωのいずれの負荷抵抗時も600Wでを叩き出します。デモの音ですが、次元の違う鳴り方をしていました。安定感があり、低音から高音までバランスがとれていて美しく鳴っていました。価格は、M3が2本で10,480,000円で、MC611が1台で2,100,000円と、こちらも次元が違いますが、この音であればありなのかと思いました。

まとめ

再生環境は必ずしも良いとは言えませんが、無料で普段聴くことができないシステムの再生を体験でき、まる1日いても回りきれないボリュームなのでオーディオファンには外せないイベントです。次回もまた来場したいとおもいます。

 

おわり