チャンネルデバイダーのVR制御(まとめ編1)

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まとめ編1

12chATTユニットが完成したので設計・製作をまとめます。

ATTユニット

NS-1000Mをマルチアンプ駆動してみたいとずっと昔から考えていました。一方、バランス駆動にこだわるため、ステレオ3wayのマルチアンプ駆動を行うためには、12ch分のアンプが必要となり、そのボリューム制御に12連ボリュームが必要です。現状のシステムのセミマルチアンプ駆動環境では、4連ボリュームを2個使ってしのいできましたが、それを3個にすると著しく使い勝手が悪くなるので躊躇していました。そんな中、ユニバーサル基板に実装可能な小型信号用リレーが目にとまったため、それを使って12chのATTユニットの製作を決めました。

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ATT基板

現状のシステムを使っていくつかのシチュエーション時の音量を設定して、その際にチャンネルデバイダ出力ボリュームの減衰量を測定しました。その結果最低限8ステップあれば実用に耐えるATTユニットが構成できると判断して、それぞれの音量時の減衰量を回路に落とし込みました。ミュート状態を含めた9ステップを6個のリレーで構成します。選定したリレーが"2c"タイプなので、バランス回路を6個のリレーで実現できました。

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選定したリレーは小電力仕様で、操作コイル定格は12V/13mAです。接点は信号用として一番信頼性の高いと言われる金クラッドタイプではありませんが、選択肢がないのであきらめました。

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実装は、私の標準基板を使用して4ch分(1way分)を実装します。リレー12個を乗せると、制御回路用のICの実装スペースしか残らず、分圧抵抗は部品面に実装する事にしました。実装には手間がかかりましたが、実装後は安定しています。

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今回は3way用なので、この基板を3枚製作しました。

バッファ基板

Dレンジの観点から今までの製作ではバッファアンプを常にフルボリュームで動作させて、出力ボリュームでレベル制御させてきました。ATTユニットの構想時点で検討しましたが実用時の使い勝手を考えると、今回はATT基板の後段にバッファアンプ基板を配置せざるを得ませんでした。

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トータル12チャンネル分を1枚の基板に実装するため、オペアンプは2in1のMUSES01を選定しました。チャンネルでバイダーの改造で結果が良かったMUSES03に後ろ髪を引かれましたが、1枚の基板に12個のDip8pinの実装はできそうになかった事と、オペアンプの購入価格が21,000円から30,000円に上がってしまうので断念しました。回路図は以下のとおりですが、実装確認時に発振対策を行ったため各オペアンプ出力にダンピング抵抗100Ωを追加しています。

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左右独立電源としたため、電源用の2個を含めて3極の端子台を14個搭載しています。

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入出力信号用の端子台を段違いにしているのは、配線間違いを防止するためです。使用した端子台には色違い品があったため交互に並べても良かったかもしれません。

電源基板

ATTユニットで必要な電源は、バッファアンプ用の+12/-12V電源とデジタル回路用の+12Vと+5Vです。折角の自作なので、できる範囲で贅沢な設計と考えてアナログとデジタル電源をトランスから独立とし、バッファアンプ用の電源は、さらに左右独立としました。デジタル用の+12V電源は、リレー操作コイルの消費電流が大きい為専用として、デジタル用+5V/+12Vとリレー用+12Vの計3系統の出力としました。トランスはいつも使用しているトロイダルトランスをアナログ電源用とデジタル電源用に2個搭載しました。回路図は以下のとおりです。

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2系統ある+12V電源の三端子レギュレータは、データシート上は放熱が不要と読みとれましたが、信頼性を考えて小型のヒートシンクに実装しました。先の「安定化電源の性能改善(2018-4-13)」記事の検討結果から、三端子レギュレータの出力には、一切の電解コンデンサを実装していません。この対応が吉と出たかはなんとも言えませが。次回もまとめの続きを行います。

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つづく(まとめ編2)