マルチアンプ実験5(番外編27)

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番外編27

NS-1000Mのフルマルチアンプ駆動化に弾みをつけるために実験を行いました。

3Way駆動アンプ

現在、NS-1000Mのセミマルチアンプ駆動環境のパワーアンプは、LowがBTL方式A級DCパワーアンプで、Mid/HighはバランスA級EL34プッシュプルパワーアンプです。これを3wayフルマルチアンプ駆動にするためには、もう1台ステレオパワーアンプが必要になります。まずは現状の手持ちアンプを使ってシステム構築するつもりです。まだチャンネルデバイダの製作が残っていますが、今回は簡単な実験をしてアンプの選定をしてみます。Low用のアンプは現在使用中のBTL方式A級DCパワーアンプで決まりです。従って、MidとHigh用のアンプを決めたいとおもいます。以降が現状の私の手持ちアンプです。

ステレオDCパワーアンプ

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このアンプは私が所有するパワーアンプ中で唯一、バランス対応していません。私が学生時代に設計製作し、数年前にメンテナンスを行ったものです。メンテナンスの様子は、「DCパワーアンプメンテナンス 2016-08-20」で紹介しています。終段はAB級動作で、負荷8Ω前提の場合、1WまでA級動作をする設計です。特徴は、終段のトランジスタに、今ではなかなかお目にかからない、キャンタイプのNEC製のコンプリメンタリEBT(エミッタバラストトランジスタ)を採用している点です。

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電圧増幅段の電源には、チョークインプット方式を採用しています。

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音は、比較的重心が低くおっとりした感じです。

BTL方式モノラルパワーアンプ EPM-30inv(エルサウンド

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ワイエー電子製のパワーアンプです。2015年末にオーディオの趣味を再開した際に、パワーアンプを自作するまでの間のつなぎの為に購入したものです。価格は1台88,000円です。今ではほとんど使用していませんが、自作のDCパワーアンプを壊してしまった際のピンチヒッターとして使用しました。仕様は以下のとおりです。

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音は比較的硬めで、低音はBTL方式なりの駆動力をもっていますが、色づけされた印象です。中高域の特徴が低音の色とし聴こえている感じがします。

バランスEL34パラレルシングルアンプ

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このアンプはシングルアンプに魅了される方が多く、その秘密をさぐるために設計・製作しました。先に製作したプッシュプルアンプと音の比較をする前提で、使用する部品を極力揃えるため、終段をパラレルシングル方式としました。本記事のアイキャッチ写真はこのシングルアンプと比較元のプッシュプルアンプを並べたものです。見た目はほとんど変わりません。以下が回路図です。

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回路図のとおり、オーバーオールの負帰還はかけていません。無理してパラレル駆動にした事と、バイパスコンデンサを欲張らなかったため、パワーアンプとしては帯域が広くありません。

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言い過ぎかもしれませんが、FM放送の特性とでもいいましょうか?それでも再生される音は、音楽性が高く悪くはありません。ホール感、奥行き感の再現はいい感じです。

バランスA級EL34プッシュプルアンプ

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私初の自作真空管アンプです。何も知らない中、情報をかき集めて設計・製作しました。終段の電流原にはトランジスタをつかったハイブリッド方式です。

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先日の記事でも紹介したとおり、運用の途中でオーバーオールの負帰還を外して使用しています。

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帰還を外した方が高域特性は悪くなりますが、音はのびのび鳴る印象の為、帰還無しを選択しました。話は遡りますが、初めて真空管アンプの音を聴いたときは、「なんて響きが美しいんだろう」と感じました。それもあり、現状のセミマルチアンプ駆動システムのMIDとHIGH用に使っています。

選定

上記の紹介から半ば結論がでていますが、LOWは記事の冒頭で書いたとおり、BTL方式A級DCパワーアンプで決まりです。MIDとHIGHは響きの美しい真空管アンプを使用しますが、帯域の狭いシングルアンプをMIDとするとHIGHがプッシュプルアンプと言うことになります。事前の検証として現状のセミマルチアンプ駆動環境のMID/HIG用のアンプをプッシュプルアンプからシングルアンプに切り替えて音を聴いてみました。

MID/HIGHシングルアンプ駆動

MID/GIGHのアンプをすぐに切り替えられるように、真空管アンプを2段積みして試聴を行いました。

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シュガーはお年頃/井筒香奈江(LINDEBAUM)

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ベースの音が厚く、ふっくらした感じに聴こえます。女性ボーカルが自然な感じで聴きやすいです。奥行き感をより感じます。

木星/(惑星)

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ホール感の再現性が良いです。音楽性豊かに鳴る印象です。

■FARANDOLE/Bob JamesBob James TWO)

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中域が厚くなり奥行き感が増して聴こえます。反面、高域のキラキラ感は後退します。低音も厚く聴こえます。

上記の結果から、このシングルアンプをMID用として試してみる事にします。その際のHIGH用は、プッシュプルアンプとなります。何れにしろ、早く3way用のチャンネルデバイダつくらなくては。

 

おわり(番外編27)