チャンネルデバイダ製作2(製作編11)

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製作編11

電源基板の通電確認が終わったので、動作確認を行います。

電源基板の動作確認

確認方法は、以前の記事で行った電源の等価出力インピーダンス測定を行います。ジグを使用して負荷電流を正弦波状に振って、その時の出力電圧の変動をモニタします。性能の判断は、負荷電流の周波数を変えて等価インピーダンスの周波数特性で行います。参考としてジグの回路図を再掲載します。

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回路は3ブロックに分かれていて、正電源用の負荷回路、負電源用の負荷回路と電圧変動増幅用のAC入力アンプです。ACアンプのゲインは10倍(20dB)に調整してあります。このアンプは、アクティブフィルタの周波数特性の測定で、測定限界を下げるために使用したものです。負荷回路は、ボリュームで調整可能なDC電圧と外部入力を加算した信号を負荷電流用のドライバ(エミッタフォロワ)のベースに入力して負荷電流を制御します。

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ジグへ供給する電圧の都合により、今回の負荷電流は平均30mAで、60mAppの正弦波とします。

ch1+12V電源特性測定

ジグへ入力する信号レベルを絞り、ジグの平均電流調整用ボリュームも負荷電流がカットオフする方向に調整して電源オンします。負荷電流をオシロでモニタしながら電流調整ボリュームを回して平均電流を30mAに調整します。ジグの負荷抵抗が50Ωなので、電圧換算で1.5Vです。この状態で発振器の出力レベルを上げて、負荷電流変動の波高値を60mAppに調整しました。電圧換算で3Vppです。写真は周波数1KHz時の応答波形です。

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上の波形が負荷電流で、下の波形が出力変動を10倍増幅した波形です。出力変動波形はやや歪んでいますが、0.106Vppを示しています。10倍のアンプで増幅しているため、実際の出力変動は、0.0106Vppです。この時に電流の変動量は60mAppなので、等価出力インピーダンスは約0.18Ωと計算できます。この方法で10Hzから100KHzまで等価出力インピーダンスを測定してグラフ化してみました。

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約100Hz位までは良好な特性を示していますが、そこからインピーダンスが上昇を始め、500Hzで0.1Ωを越えます。さらにインピーダンスは上昇を続け、10KHzで1Ωを越えて、それ以上の周波数では1Ω強で安定します。正直この特性を見てしまうと、そのまま使いたくなくなりました。写真は10KHz時の応答波形です。

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波形は素直なので、安定して動作はしていると考えられます。三端子レギュレータの特性のばらつきによる可能性もあるので、ch2の+12V電源も同様に測定してみました。結果は以下のとおりです。

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ch2の+12V電源の同様の結果となりました。以前の測定では、出力に100uFの電解コンデンサが接続された状態だったので、同じ条件で測定をしてみました。

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ch2+12出力用の端子台に100uFを接続して同様に測定を行いました。結果は以下のとおです。

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以前に測定した結果と同じになりました。3KHz付近で出力変動がピークとなり、等価インピーダンスが約0.7Ωとなります。それ以上の周波数では、電解コンデンサの効果によりインピーダンスが下がっています。この時の1KHzと10KHzの応答波形は以下になります。

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1KHz時の変動波形は歪みが大きく、波高値を使って等価インピーダンスを計算すべきではない気がします。10KHzになるとは波形が安定しています。実験として、出力に接続する電解コンデンサの容量を50uFと1000uFに変えて特性を測定してみました。

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特性の傾向は変わりませんが、容量が大きくなると出力変動のピーク周波数が下がり、高周波数域のインピーダンスの全体的に下がります。電解コンデンサによる効果は、負荷電流に依存するため、今回の結果はあくまでも平均電流30mAで電流の変動量が60mApp時の結果と考える必要があります。今回測定した結果と、今回の電源基板は実装回路量から余裕がある事を考慮してどうするか考えたいとおもいます。次回は-12V電源も同様に動作確認を行います。

 

つづく(製作編12)