まとめ編
1000Mのバランスマルチアンプ駆動システムの構築が完了したので音を聴いてみます。
レベル調整
前回、測定結果上でフラットとなったボリューム位置にシールを貼ってマーキングしました。このポイントを目安に聴感で微調整したいとおもいます。シールはアマゾンで購入した剥がせるタイプです。格好悪いので楽天で丸シールを買い直しています。
試聴
聴き慣れたCDを順に聴いてみます。
■Take Me To The Mardi Gras/BJ2(Bob James)
中域の弦楽器余韻が美しく、奥行き感が感じられます。管楽器の音も前にでます。
■海風/海風(風)
出だしのアコースティックギターが甘く響き、かつ生々しい。男性ボーカルのハモリの分離が良く聴こえます。
■冬京/海風(風)
ベースの音程が明瞭です。ベースにかぶった楽器の音の分離がいいです。
■無意識と意識の間で/LINDEN BAUM(井筒香奈江)
ピアノの響きが美しい。女性ボーカルがより自然に聴こえます。
■断頭台への行進/幻想交響曲(小林研一郎)
ホール感がより感じられ、つつまれる感じがします。
■星に願いを/スペシャル(Kenny Drew)
ピアノが美しく響きます。録音時のスタジオ内のノイズがリアルに聴こえます。
■蒼氓/僕の中の少年(山下達郎)
ボーカルが甘く美しく余韻がきれいに聴こえます。
音の印象
上記のとおり、ネットワークとアッテネータを取り除いて、スコーカーとツィーターをアンプとダイレクトに接続した効果を聴く事ができたと思いますが、貧弱なボキャブラリでうまく伝える事ができません。総じて言える事は、音の分離が良くなった為に各楽器の余韻がより聴きとれる感じがします。その結果、奥行き感の再現性が上がった印象を受けました。一方、信号処理の為にアンプの段数が増えていて、スコーカーチャンネルで言えば、DAC出力とパワーアンプ入力間にオペアンプが4段入っています。(他チャンネルは3段)正直なところアンプが増えた事による音の変化は良くわかりませんでした。デジタル処理のチャンネルデバイダを使ってアンプの段数を減らす事で、違いが聴きとれるかもしれませんが今後の課題としたいとおもいます。
システムの課題
最初の音だしの際に気づいたハムは、スコーカーチャンネル用のEL34シングルアンプ起因でした。アンプ製作の際にも気づいていましたが、リッスニングポジションでは聞き取れなかった為、放置していました。今回マルチアンプ化の際にアッテネータを削除した事で、スコーカーチャンネルの能率が3dB以上上がり、ハムの不具合が顕在化しました。(下記がスキップしたアッテネータで、減衰ゼロ時のメモリは3dBを越えています。)
簡単には直りそうにないので、別途番外編にて改善検討の報告をしたいとおもいます。
システムまとめ
NS-1000Mのウーハーは重く、躍動的に鳴らす為にはアンプの駆動力が必要と言われてきました。今回使用したLowチャンネル用アンプは、出力は8Wながらも強力な電源と終段をパラレルコンプリメンタリ方式のBTLモノラルアンプ構成として駆動力を高めています。
さらにマルチアンプ構成とする事でネットワークを介す事なくウーハーにダイレクトに接続する事で理想的な駆動環境とする事ができました。一方、スコーカーとツイーターは響きの美しい真空管アンプを使う事で、DCオフセット出力によるユニットへの悪影響を気にせずにダイレクトに接続しています。アンプの異常時を考慮すると直列にコンデンサーを入れておくべきかもしれません。DAC出力以降のアナログ信号は全てバランス電送とする事で、GNDの影響を軽減しています。このようなシステムの構築を市販の機器で行うのは難しい事から、オーディオ製作の趣味として構築しがいのあるシステムではないかと思います。まだ課題は残っているので引き続き改善を進めていきます。長らく1000Mのマルチアンプシステム構築におつきあいいただきありがとうございました。
おわり(まとめ編)