真空管HPアンプの製作(設計編1)

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設計編1

キーパーツの選定から設計を開始します。

真空管の選択

今回の製作の一番のキーパーツ、真空管を決めます。構想編でリストアップした項目のうち、真空管の選定に関連する項目を再掲載します。

・終段はプッシュプル構成とする

・終段を含めて3極管を使ってみたい

・できるだけコンパクトに納めたい

・出力は1W程度あればいい

全段プッシュプル構成とするため、初段はいままでの製作で採用した12AX7を使用します。特徴を列記します。

・双3極管で小型(MT管)

・高利得で2段構成の初段に適している

・現在も生産されていて、入手性が良く、比較的安価である

問題は出力管の選定です。コンパクトに納める事と、3極管にこだわりたい為、出力管として使用できる双3極管を探してみました。アマゾンで検索してみたところ1品種ヒットしました。ロシア製の6N6P(ECC99)です。未使用のオールドストック品ですが、出荷時に全管Gmテスト済みとの事です。価格は予備も含めて4本とした場合、2,463円です。早速仕様を確認してみます。

6N6P仕様

ネット上の真空管仕様書のまとめサイトから6N6Pの仕様をダウンロードしてみました。ロシア語に加えて英語併記されていました。仕様書から主なスペックを抜粋してみます。

・9ピンMT管

・双3極管

・ヒーター電圧は6.3V/750+/-70mA(傍熱式)

・最大出力4.8W(単極)8W(双極)

・最大プレート電圧300V(Ip cut off時は450V)

・増幅率μは22+/-4(12AX7と比べると小さい)

上記のとおり、今回の製作に適した仕様です。唯一の難点は、在庫が尽きた後の入手性ですが、今回は予備も含めて購入する事で対処したいとおもいます。ピンアサインを12AX7と比較してみます。

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上図のとおり、ピン配置は9ピン以外は共通です。12AX7は9ピンをGNDに落とすとヒーターが6.3V仕様となり、オープンの場合12.6V仕様となります。一方、6N6Pは、内部シールドに接続されている為、通常はGNDに接続します。続いて外観を比較してみます。

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左が6N6Pで、右がGolden Dragonの12AX7です。高さが約15mmほど6N6Pが高い程度で見た目の差は少ないです。捺印はロシア後で6N6Pとロットナンバーでしょうか?03☆82の表記のみであっさりしています。

出力トランス選定

今回の製作は、インピーダンスが45Ωのヘッドフォンが負荷となります。本作が真空管アンプ3回目という事で常識が備わっていない為、一応ヘッドフォン負荷を前提とした出力トランスがないかあたってみました。予想どおりそんな物はありませんでした。表示二次インピーダンスが合っていなくとも使用できますが、効率面で不利になるのでしょうか?できるだけハイインピーダンス前提のもとしては、16Ωのものがありました。春日無線のKA-54Pシリーズです。

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10Wクラスが想定されていて、今回の用途では余裕がありすぎる気もしますが、検討を進めます。一次インピーダンスは3.5KΩ, 5KΩ,8KΩ, 14KΩがラインナップされています。二次側のタップは、4Ω, 8Ω, 16Ωが用意されているので、普通に入手できるどんなスピーカーにも対応可能です。今回は16Ωタップを出力に使用して8ΩタップをセンタータップとしてGNDに落として使用したいとおもいます。ヘッドフォンの実効出力は約半分となりますが、ヘッドフォンと並列に47Ωの抵抗を入れてヘッドフォンが外れた時出力管の保護を兼ねてインピーダンス調整をしたいとおもいます。その場合の負荷は約22Ωとなります。一次インピーダンスとして8kΩのトランスを選定したときの一次実効インピーダンスは、約11kΩ(=8k x22 /16)となります。この設計で気になる点は、8Ωタップをセンタータップとして使用できるかです。トランスを入手したら、巻き線の抵抗値等を測定してみたいとおもいます。上記を反映したこの部分の回路は以下のようになります。

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次回も引き続き回路設計を続けます。

 

つづく(設計編2)