トランス唸り対策(番外編30)

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番外編30

ウーハー駆動用のA級BTL方式DCパワーアンプのトランスの唸りを絶縁トランスを使って対策します。

絶縁トランス落札

数日して、想像よりも数倍大きく重いダンボールが届きました。

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箱を開けて中身を取り出します。

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手前にコテを置いたので大きさがわかるとおもいます。重さは約16kgもありました。こんな物を扱っていると持病のぎっくり腰が再発しそうで怖い為、早々にキャスターを付けた板の上に設置する事にしました。板はビバホームで購入し、カットサービスで希望の寸法にしました。キャスターの取り付けの際に下穴をちゃんと空けずに木ねじを打ったために、1カ所だけ板にひびが入ってしまいました。

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電源の入出力は、5mのテーブルタップを途中で切って流用しました。コンセント側は短く(約1m)タップ側は長くして、運用時にこのトランスをできるだけパワーアンプから離して設置できるようにしました。タップ側は個別SW付きの物です。

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使用するパワーアンプはコンセントに接続すると電圧増幅段の電源が入る仕様となっている為、その電源のスイッチとして使用します。絶縁トランスへの電線の固定は写真の金具を1次側と2次側ともに取り付けて、トランスのターミナル部に力がかからないようにしました。

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トランスの1次巻き線には、念のためヒューズを入れています。ヒューズホルダは配線の途中に入れられるタイプで、暫定的に10A品を入れました。

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これで組立は完了です。火入れする前に各部の抵抗確認をしました。1次巻き線2次巻き線ともに0.1Ωでした。定格容量が1.5KVAなので各巻き線の直流抵抗は低く、仮に巻き線に絶縁不良が起こっていても抵抗値で確認はできません。両巻き線ともにフレームとの導通はありませんでした。これ以上の確認はできないので、意を決して電源を入れてみましたが何もおこりません。入力電圧が約104Vで出力が106Vと2次側の電圧がやや高くなっています。

音聞き

製作した絶縁トランスは、リッスニングポイントの背後に移動しました。絶縁トランスに通電して、さらにA級BTL方式DCパワーアンプの電源もオンしてしばらく様子を見てみました。しばらくすると、絶縁トランスからジーというハムの高周波成分が聞こえました。その時のパワーアンプのトランスの唸りの状態はあまり変化がありませんでした。耳につきやすいハムの高周波成分が絶縁トランス側に移った印象です。

音聴き

この状態で音楽を聴いてみました。リッスニングポイントの背後に置いたトランスから聴こえるハムは音楽と分離して聴ける為に、正面から聴こえるハムに比べて気になる度合いが低く感じました。最終的には絶縁トランスの位置をさらに移動してリッスニングポジションから絶縁トランスのハムが聞き取れないようにする予定です。スコーカーチャンネルのハムは相変わらずですが、当初リッスニングポイントで気になったハムのレベルは、DCパワーアンプと一直線上にスコーカーが配置されたために、DCパワーアンプのトランスの唸りも含めてスコーカーから発生していると錯覚した事に起因していたようです。但し、スコーカーに耳を近づけるとハムは相変わらず聞こえるので、何れ対策は必要です。

音の印象

再生音は、低音の堅さがやや取れた印象ですが、悪くはありません。普段よりも1ステップ音量を上げて聴きたいと感じましたが、今までの経験からそのように感じた時は改善している可能性が高いように思えます。

波形確認

絶縁トランスは負荷がつながっていなくても、供給電源の状況により唸りのレベルが変化します。その時の1次側の電流を観測したいとおもい、格安の電流プローブを購入しました。

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絶縁トランスが無負荷状態で、唸りが大きい時と小さい時の一次電流を比較してみました。左が唸りが小さい時で右が大きい時の一次電流波形です。

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測定時のレンジ設定はは1mV=10mAです。ややレベルは違う物の、この数値の違いが唸りの大きさにつながるとはおもえませんでした。もう少し観測を続けたいとおもいます。今回はたまたまオークションで手頃な価格で絶縁トランスを手に入れられた為、リーズナブルなコストで対策を試す事ができました。当面この状態で運用したいとおもいます。次回は真空管HPアンプの製作に戻ります。

 

終わり(番外編30)