真空管HPアンプの製作(製作編12)

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製作編12

配線が完了したので、通電確認から再開します。

通電確認

まずは、終段の真空管を装着せずに通電確認を行います。確認ポイントは終段真空管用のソケットの各端子電圧です。その際に終段のIpバランス調整機能の動作確認も合わせて行います。それでは早速確認を開始します。電源オンして、まずはB電源とC電源の電圧が正しく出力されているか確認します。

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次に、確認済みの初段の状態を再確認します。確認は各プレートの電圧測定です。初段の通電確認結果と比較しましたが特に問題ありませんでした。続いて本題の終段真空管用のソケットの各端子電圧を確認します。確認結果は以下のとおりです。

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グリッド端子はハイインピーダンスの為、測定値が安定しませんでしたが、センター値は概ね設計値となっていた為問題なしと判断しました。カソードは、定電流回路がカットオフしている為、値が安定しませんでしたが概ね0Vなのでこれも問題ありません。続いてグリッドバイアス調整回路の確認を行います。ボリューム位置Min/Max時の各グリッドピン電圧を確認しました。確認結果は以下のとおりです。

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L-ch/R-chともに値が安定しませんでしたが、センター値が設計どおりなので問題なしと判断しました。

L-ch通電確認

一旦電源を切って、L-chの終段用真空管を装着します。少し力がいりましたが、なんとか装着できました。

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入力ボリュームを絞り、グリッドバイアス調整用ボリュームをセンターに合わせて電源オンします。ヒーターが音を立てて発光を始めます。ヒーターが暖まると定電流回路に電圧がかかり、定電流回路の基準電圧生成用のLEDが点灯します。

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最初に定電流回路の動作を確認します。カソードの電圧は4.6Vで定電流回路に必要な電圧がかかっています。次にエミッタ電圧を測定します。1.24Vなのでエミッタ抵抗57Ωから電流値は21.8mAとなります。基準電圧回路の電流が10mAと想定すると、プレート電流の和は31.8mAと算出できます。ほぼ設計値どおりの結果となります。

L-ch_Ipバランス調整

本アンプの唯一の調整項目の終段Ipのバランス調整を行います。参考に改めて回路図を掲載します。

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調整方法は、終段双三極管のグリッドバイアスをバランス調整します。各回路のIp値は、あらかじめ測定した出力トランスの1次巻き線の抵抗値と巻き線のドロップ電圧から算出します。

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調整は正規の姿勢に置いてシャーシに取り付けたチップジャックを使って行います。

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一旦ラフに合わせてから微調整を繰り返してIpバランスを追い込みます。調整結果は以下のとおりです。

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念のため出力をポケットオシロでモニタして、発振していない事を確認しました。

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最後に各部の電圧を測定しました。結果は以下のとおりです。

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これでL-chの製作は完了しました。

R-ch通電確認

R-chも真空管を装着して同様に確認を進めます。

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定電流回路の電流算出値は32.1mAでした。続いてIpバランスを調整します。調整結果は以下のとおりでした。

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L-ch同様に出力をポケットオシロでモニタしました。発振はしていませんでした。

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調整後のR-chの各部電圧は以下のとおりです。

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電源動作確認

アンプの各部電圧の確認が終わったので、電源の確認もしておきます。各部電圧は以下のとおりです。

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B電源は想定よりも9V下がっていますが、アンプの動作への影響はないとおもいます。念のためB電源のリップルフィルタ用トランジスタ印加電圧をポケットオシロで確認しておきます。

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最低でも13Vかかっているため動作上の問題はありません。続いてC電源の三端子レギュレータ印加電圧も波形確認します。

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動作に十分な電圧がかかっている事が確認できました。電源も設計どおり動作しています。今回の記事では触れませんでしたが、調整後に無音時の音を聴いたところ、酷いハムが発生していました。次回はハム対策を行います。

 

つづく(製作編13)