真空管アンプのハム対策(番外編31)

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番外編31

2台の真空管アンプのハム対策を行います。

対象のアンプ

1台目は先日製作を完了した真空管ヘッドフォンアンプです。能率の高いヘッドフォンに変えた事で追加対策が必要となりました。2台目は、以前から記事で触れていましたが、マルチアンプシステムのスコーカーチャンネル用のEL34シングルパワーアンプです。マルチアンプ化により、スピーカーの実効能率が上がった事でハム顕在化していました。

真空管ヘッドフォンアンプ

汗ばむこの季節は、パッド式のヘッドフォンを装着したくない事が多くなり、以前購入していたインナーイヤータイプのバランス対応ヘッドフォンを引っ張り出しました。

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製作記事で紹介しましたが、負帰還でゲインを下げた事でハムは気にならないレベルまで下がりましたが、このインナーイヤータイプのヘッドフォンに替えた事で能率が高いからか、気になるレベルのハムが再発しました。症状はL-chからハムの高調波が聴こえます。製作記事中でも紹介しましたが、ボリュームとL-chの段管のカップリングコンデンサ付近をシールドする事で改善する事を確認していたので、事前に対策部品を買いにいきました。1点目は銅板です。加工しやすいように0.1mm厚のものを購入しました。

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100x200mmサイズで188円でした。2点目は、銅箔テープです。厚みは0.08mmです。

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50mm幅x5mで1,780円です。価格を見てちょっと躊躇しましたが、作業性には代えられないと考えて購入しました。まず初めに銅箔テープをボリュームのボディーに貼ってみました。

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事前の確認とは裏腹に、ほとんど効果がありませんでした。続いて段管のコンデンサ付近のシールドを銅板を置いて効果の確認をしましたが、自立させて手を離すと殆ど効果が認められませんでした。新たな対策を探すしかありません。感電に注意しながら原因と思われる部分に手を近づけて確認を繰り返した所、L-chのHotの入力ラインが影響を受けやすい事がわかりました。初段Hot側のグリッド端子への配線は写真のとおり、大きなループがあります。Cold側も同様の影響をうければ、初段は差動入力としているので相殺されるはずですが、Hot側のみのループです。

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写真の赤のラインですが、このラインをできるだけループを小さくするように配線をやり直しました。

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ボリューム側はHot側入力への帰還ラインのループが比較的大きくなっていました。

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写真中の黒のラインです。引き回しを変えてループを小さくしました。

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対策後に音を聴いてみましたが、L-chのハムの高調波はほぼ聞こえないレベルまで改善しました。ヘッドフォンを普段使用しているパイオニアのSE-MHR5に替えたところ、静かな環境でわずかに聞こえていたハムもほぼ聞こえないレベルに改善していました。当面、この状態で運用してみたいとおもいます。

その後の確認

ネットで関連情報を漁ったところ、低周波の漏洩磁界に対しては、銅版では殆ど効果がないとの事でした。透磁率の高い材料で磁束を誘導するように対策部品を配置する必要がるとの事でした。次のEL34SGLパワーアンプの対策時に考慮して対策検討したいとおもいます。次回は、EL34SGLパワーアンプのハム対策を行います。

 

つづく(番外編32)