DCパワーアンプ電源改良(製作編17)

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製作編17

改造完了した定電圧電源を取り付けて通電確認を行ったところ、今までのトラブルの原因がわかりました。

定電圧電源基板取り付け加工

この基板は元々このボトムカバーに取り付けられていましたが、取り付け位置を変える必要があるので、ボトムカバーを追加加工します。先に作成した基板取り付け用加工図にこの基板の取り付け用の穴4個を追加します。基板の取り付け位置は、安定化電源基板と基板のセンター位置を合わせました。

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いつもの様に加工図を印刷し、フロントラインに合わせて、追加4個の穴が含む状態で加工図をカットしました。写真は終段用電源基板を外さない状態で加工図を貼り付けたところです。

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この状態で、4カ所の穴のセンターにポンチで印を付けてドリルでφ3.2の穴をあけました。基板取り付け用のスタッドは、ハンダ面に電解コンデンサを取り付けた事から10mmから15mmに変更して基板を取り付けました。

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定電圧電源通電確認

ボトムカバーをアンプに取り付けて、定電圧電源の入力配線のみ行って通電確認しました。所定の電圧が出力されている事が確認できました。

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次にアンプの電圧増幅段の電源配線のみ行って通電確認を行います。少し緊張しながら電源オンしたところ、定電圧電源の+電圧出力が異常です。電源のドライバ用トランジスタに触れたところ、異常に発熱していました。即座に電源を切りアンプの電源配線を外して定電圧電源のみ通電確認を行ったところ、+電源が故障していました。見込みが大きく狂いましたが、今回のトラブルの原因はアンプ側電圧増幅段回路以外考えられません。

原因の特定

このままの状態で、シャーシGNDと+電源入力端子間の抵抗値を測定してみました。案の定2.3Ωとどこかでショートしている事がわかりました。

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ヒートシンクを取り外して、アンプ単体で改めて確認してみました。ヒートシンクと+電源入力間がショートしています。

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この状態で、左手前の基板取り付けネジを外して基板を浮かせたところ抵抗値が正常になりました。早速アンプ基板を取り外して確認したところ、+電源ラインが基板取り付け用穴近くにあり、スタッドと接触している事がわかりました。

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直角に配線されたこのラインを、斜めに配線して取り付け穴とのクリアランスを確保する事で対策をとりました。電源が壊れる原因がアンプ側にあった事がわかったので、故障していた安定化電源を再度修理して、電圧増幅段用の電源を当初の予定どおり安定化電源に戻しました。

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通電確認?回目

改めてアンプを組み上げて通電確認を行います。始めに電圧増幅段のみ電源オンして状態を確認しました。しばらく放置しても問題ありませんでした。意を決して終段の電源もオンします。

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プッシュSWの自照ランプが点灯して、終段に電源供給されている事がわかります。写真後ろに電源トランスユニットが写っていますが、赤のランプと右側の緑のランプが点灯しています。しばらく放置してから出力オフセットと終段のバイアス電流をモニタしましたが、問題ありませんでした。(本記事のアイキャッチ写真参照)原因が解ってしまうとたいした事ではありませんでしたが、ようやく泥沼から這い出る事ができました。

今回の顛末まとめ

今回はいろんな事象が重なり、原因特定に手間取ってしまいましたが、今後の為に状況を整理してみました。

・最初に組み立てた際は、アンプ基板の取り付け時に、スタッドとのショートリスクを把握して組み立てを行った

・今回アンプ基板改造後の組立は、リスクを忘れて組立を行ってしまった

・アンプ単体の通電は、ヒートシンクが+電位となるものの正常動作するため、ヒートシンクが+電源とショートしている事に気づけなかった

・組立状態の通電では短時間で電源が故障するため、状況の把握ができなかった

・安定化電源の安定性を疑ってしまった

以上の事から、「リスクをもった状態を放置すると後で痛い目にあう」事が今回の教訓です。再発させない為に肝に銘じました。次回は、Cold側のアンプの通電確認を行い、全体の調整とアンプ総合の動作確認を行います。

 

つづく(製作編18)