DCパワーアンプ電源改良(まとめ編1)

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まとめ編1

パワーアンプの電源改良改造が終わったので音聴きの前に今回の改良をまとめます。

パワートランスユニットまとめ

今回の電源改良の発端は、電源トランスの唸り対策です。今までに数回対策を行ってきたものの、十分な結果には至らなかったために、唸りの元の電源トランスを外に出して対策する事にしました。せっかくの電源改良の機会なので、終段用の電源トランスを現実的な範囲で最大容量のものに換装しました。具体的には2次巻き線の定格電流値を従来の5Aから20Aへ容量アップしています。この容量アップによって、選択した電源トランスの構造が、一般的なオーディオ用電源トランスと同様にコアをネジで固定するタイプに変更となりました。

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写真は選定した東栄変成器のJ-1220です。シャーシ搭載前にコア固定用のネジを増し締めしました。電源ランプやヒューズを含む電圧増幅段用電源トランス一次回路を除き、L/R独立回路構成としています。アンプユニットへの電源供給はXLRコネクタ仕様3極およぶ5極のケーブルを使用しています。参考に回路図と外観写真を再掲載します。

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アンプユニットまとめ

アンプユニットも改造の趣旨からすると、電源トランスを外に出すだけですが、こちらもせっかくの改良なので、電圧増幅段用電源回路を改良しました。従来はツェナーダイオードによる定電圧電源にトランジスタバッファを追加した簡単なものでしたが、誤差アンプに単電源オペアンプを使用した安定化電源に変更しました。この変更により、このアンプが受け持つウーハー帯域(500Hz以下)の電源インピーダンスは約0.1Ωと変更前の約1/10に改善しています。

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他に、メンテナンス性改善等の細かな改良も加えています。部品および外観の写真を再掲載します。

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NS-1000Mマルチアンプ駆動システム

紹介のついでに、今回改良したユニットを組み込むマルチアンプシステムについて簡単におさらいします。下記は改良前のマルチアンプシステムのブロック図です。

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これが今回の改良で下記のとおりになりました。

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各ブロックについて改めて簡単に紹介します。

マルチアンプ対応NS-1000M

ネットワークを取り外して、代わりに各スピーカーユニットに直結したターミナルを設置しています。バッフル板に取り付けたままとなっているアッテネータもバイパスしています。各部写真を再掲載します。

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12chアッテネーター

バランス3wayマルチアンプシステム用に設計したシステムボリューム用の12chアッテネーターです。リレーと表示制御用に汎用のマイコンボード(Arduino UNO)を搭載しています。C++ベースの実用ソフトの作成経験がなく、単純な処理ですが苦労しました。実装するリレーの数を減らすために、現システムに必要な最低限の減衰量を設定しました。それでもトータルで36個のリレーを搭載しています。

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3Wayチャンネルデバイダー

本機もバランス3Wayシステム用に設計したチャンネルデバイダーです。オペアンプ(MUSES01)を使用したアクティブフィルター構成で、フィルター特性は群遅延特性が一定となるベッセル特性を採用しています。クロスオーバー周波数は、1000Mのネットワークに合わせて、500Hzと6KHzとしています。

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Midチャンネルパワーアンプ

響きが美しく、音楽性豊かに鳴るEL34パラレルシングルアンプです。出力はバランス方式ですが、回路はこのシステム中唯一アンバランス動作しています。出力回路はパラレルとする必要はありませんでしたが、EL34プッシュプルアンプと音の比較を私なりにフェアに行うためにあえてパラレル方式としました。

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Highチャンネルパワーアンプ

オーディオ趣味復帰後、最初に大物製作したものです。この製作以前は、私の視野に真空管アンプは入っておらず、設計に関する知識も全くありませんでした。設計本1冊熟読した上で設計した私の真空管アンプ1号機です。最初に音を出した瞬間に響きの美しさに感銘を受けて、マルチアンプシステムのMidおよびHighチャンネルに真空管アンプを採用しました。製作当初はNFBをかけていましたが、運用の途中で試しにNFBを外してみたところ、音がのびのびと鳴る事がわかり、シングルアンプを含めてNFBを外して現在は使用しています。出力回路もバランス方式として、スピーカー電流がGNDに流れ込まないようにしています。

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次回は完成したシステムで音を聴いてみます。

 

つづく(まとめ編2)