EL34ppパワーアンプ製作2(構想編)

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構想編

マルチアンプシステムのスコーカーチャンネル用にEL34ppパワーアンプの製作を構想します。

マルチアンプシステム

前回までのA級BTL DCパワーアンプ電源改良の中でも説明しましたが、このシステムの中で唯一、バランス動作をしていない部分がスコーカーチャンネル用のEL34Singleパワーアンプです。

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このアンプは単体で使用した際に音楽性豊に鳴った事が気に入り、現在はスコーカーチャンネル用に使用しています。入力は差動アンプを採用し、出力トランス2次側もバランス出力していますが、唯一出力管がパラレルシングル動作となっています。

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バランス押しの私としては、全てをバランス駆動させてその音を聴いてみたいと思った事と、先日のA級BTL DCパワーアンプの電源改造で、スコーカーチャンネルが負けている印象を受けた為に、製作を構想する事にしました。

現行のEL34ppパワーアンプ

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このアンプはオーディオ趣味復帰後の大物製作の初号機で、大学の先輩から真空管アンプの自作を進められて、一から勉強して設計製作したものです。最初の設計の割には、特性も良く、音も気にいっていて、真空管ヘッドフォンアンプ製作記事の中で確認しましたが、無帰還にもかかわらず、ヘッドフォンの使用にも耐えるノイズ特性でした。久しぶりのパワーアンプ設計&製作だった為に、細かな点で設計を見直したい事もあり、改めてEL34ppパワーアンプを製作してみる事にしました。

設計の見直し項目

回路はそのまま踏襲する方針とします。但し、使用する部品はその後の製作で採用した部品を展開して入手性と組立性の改善をしたいとおもいます。またアンプを運用してわかりましたが、終段のEL34の発熱量が想像よりも多く、放熱の対策を追加したいと思います。現時点で考える変更点を列記してみました。

・基板配線接続を基板ポストから端子台に変更

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・高耐圧バイポーラトランジスタは在庫で対応

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・EL34の放熱対策としてシャーシに穴を追加

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・無帰還前提でラグ端子板の使用を見直す

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他にも出てくる可能性がありますが、柔軟に対応したいとおもいます。

懸念事項

オリジナルの製作のタイミングは、現時点より4年近く前の2016年1月頃です。少なくとも、Key Partsが現時点でも購入できるか心配となり下記部品についてあたってみました。

・ソフトン出力トランス

 購入できそうです。

・ノグチ電源トランス

 秋葉原の店舗が2018年9月末に閉まり、その後ゼネラルトランス販売が販売を引き継いでいる事が確認できました。結論としては購入できそうです。

・リードのケース

 当時は若松通商で購入したので確認したところ、受注品となっていました。仕方がないので他を検索したところマルツオンラインに在庫が2台ある事を確認しました。

前回の製作後、消費税も上がり、材料費もあがっている事から総じて価格は高くなっていますが仕方ありません。

オリジナルの回路

下記が現行のEL34ppアンプの回路図です。

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初段は双3極管12AX7を使った差動アンプです。比較的μが大きいので2段構成の初段に適しているとおもいます。差動アンプのカソード電流を定電流ダイオードで定電流化して差動アンプを理想状態で動作させています。終段の入力部には、バイアス電流調整回路を入れていますが、半固定抵抗の接点劣化時を想定して複雑な回路としています。出力管はEL34を3極管接続で使用しています。出力は2次巻き線のセンター電位をGND接続してバランス出力しています。続いて電源回路です。

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B電源は、高耐圧のバイポーラトランジスタを使ったリップルフィルター構成です。バイポーラトランジスタダーリントン接続してhfeをかせいでいます。C電源は5V用のヒーター巻き線を使って-5Vをつくっています。次回は、この回路を前提に設計を確認します。

 

つづく(設計編1)