まとめ編1
EL34_A級プッシュプルアンプの組立および通電が終わったので動作確認を行います。
動作確認
具体的にはフルレンジスピーカーにつないで音を聴いてみます。システム構成は、USBDAC出力をバランスボリュームユニットに入力してその出力を今回製作したパワーアンプに入力します。写真は久しぶりに引っ張り出したバランスボリュームユニットです。
4チャンネル分のオペアンプを使ったボルテージフォロア出力に4連のボリュームを付けた簡単なボリュームユニットです。スピーカーは、FostexのFE103Enを使ったフルレンジスピーカーです。記事公開時点では、FE103Nvに切り替わっているため、1世代前のユニットになります。
いつも聴いているCDをプレーヤーにセットして再生をスタートさせました。あれれ?左右のチャンネルで位相が反転しています。一旦電源を落として、原因の調査は後回しにして、片側のスピーカーケーブルの接続を反転して再度再生をスタートさせました。
無事正常に再生ができました。音もまずまずな感じで鳴っています。再度電源を落として、左右逆相の原因を調べます。出力トランスを使ったアンプは、トランスの位相で信号が反転してしまう事がありますが、今回は1号機の経験を反映して回路作成をした為、問題はないと考えていました。そもそも左右で位相が逆になっている事は、それ以前の問題です。シャーシ内の配線を確認したところ、L-chの真空管入力部の配線のHotとColdが逆になっている事を確認しました。
写真中のLラグ端子で、入力ケーブルと真空管入力を中継しています。黄色の電線が真空管のHot用グリッド配線のですが、入力ケーブルのCold側が接続されています。この接続を入れ替えれば左右チャンネルの位相は合いますが、念のため回路図どおりの配線で入出力間の位相が正しい事を確認してみます。CDをEIAJのテストディスクに入れ替えて、1KHz正弦波トラックをリピート再生させて、オシロスコープで入出力波形を確認しました。波形は以下のとおりです。
上段が入力、下段が出力波形です。誤配線している為に位相が反転している事を確認しました。これで安心して配線を直す事ができます。配線が込み入っている部分なので、慎重に作業を進めて配線を入れ替えました。入れ替え後に念のため入出力波形を確認しました。
入出力の位相は合っている事が確認できました。
周波数特性の測定
次はアンプ単体の周波数特性の測定を行います。下記が測定時のブロック図です。
アンプの出力はスピーカーの代わりに自作の約8Ωのダミー抵抗を接続しました。
アンプの入力を100mVppに調整して、正弦波の周波数を10Hz~1MHzまで変化させて出力の波形をモニタしました。出力のレベルの測定はオシロスコープのカーソル機能を使用しています。
波形はHot側測定時のもので、上段が入力で下段が出力波形です。同様にCold側も測定してグラフ化してみました。
無帰還アンプなので帯域は広くはありませんが、20KHzまでほぼフラットで、40〜50KHzの間で-3dBとなっています。Midチャンネル用のアンプとしては問題ない性能と考えます。同様にRチャンネルの周波数特性も測定を行いました。結果は以下のとおりです。
ほぼLチャンネルと同等の特性ですが、肩特性がHotとColdで一部異なっていますが総合の特性はL/Rでほぼ同等です。性能面ではほぼ問題ない事が確認できました。次回はマルチアンプシステムに組み込んでみます。
つづく(まとめ編2)