High-ch用アンプ製作(構想編2)

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構想編2

現行アンプのカットオフ周波数が下がる要因が推定できたので改善検討を行います。

終段真空管変更による改善検討

最初は単純に、入力容量の小さな真空管を終段用に選択する事で改善できるかを検討してみます。対象の真空管はヘッドホンアンプの終段で使用した6N6Pです。写真は真空管ヘッドフォンアンプに実装された6N6Pです。

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これを現行アンプのEL34と比較してみました。

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表中のEL34のCgk, Cgpは備考欄にも記載したとおり前回の記事で推定した値を入れています。この結果からは終段の裸利得を現行と同じ7倍に押さえたとすれば、終段の入力容量は以下となります。

Cin = 4.4 + 3.5 x (7 + 1) = 32.4pF

となり、カットオフ周波数を2倍以上(100KHz以上)に上げる事が可能です。ここで問題となる点は6N6PのμがEL34の3極管接続時の3倍近く高くなっている事です。具体的にはゲインを7倍程度に設定して許容プレート損失内でロードラインを引く事が課題です。ゲインが押さえられなければEL34並の入力容量となってしまい全く効果がなくなってしまいます。

初段真空管変更による改善検討

いままでの真空管アンプの製作ではいつも初段に12AX7を使用してきましたが、以前の製作で誤って12AU7を購入した為に在庫がある事から、有効活用できないか比較検討をしてみました。

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この表を見ると、12AU7は12AX7に比べて圧倒的にrpの値が小さくなっています。そのかわりμの値も1/5となっています。仮に負荷抵抗を100KΩとしたときのそれぞれのゲインを計算すると、

12AX7ゲイン = 100 x 100K x (80K + 100K) = 56倍

12AU7ゲイン = 18 x 100K x (7K + 100K) = 17倍

初段を12AU7としたときにトータルゲインを現行アンプと合わせる為には終段のゲインを現行の約3.3倍に上げる必要があります。(終段のゲインを7 x 3.3 = 23倍)幸い対策の候補として上げた終段用真空管6N6Pではゲインアップの可能性があるので続けて検討してみます。

初段12AU7+終段6N6P時のカットオフ周波数

初段を12AU7でゲインを17倍、終段を6N6Pで23倍としたときのカットオフ周波数を計算してみます。この時の終段の入力容量は以下のとおりとなります。

Cin = 4.4 + (23 + 1) x 3.5 = 88pF

さらにこの時のカットオフ周波数は以下となります。

fc = 1 / (2π x 88pF x 6.5kΩ) = 278KHz

上記の結果から、条件設定したゲイン設定ができれば、高周波域の特性改善が期待できます。

さらなる改善

ネットを検索してみたところ、初段をSRPP(Shunt Regulated Push-Pull)構成にする事で、初段の出力インピーダンスを下げられる事がわかりました。回路は以下のとおりです。

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負荷抵抗の代わりに真空管と抵抗で置き換えた構成です。ロードラインを引いてみると出力インピーダンスを2端子回路の等価抵抗の半分くらいに容易にできそうです。課題は、初段の電圧を上げる必要がある事です。終段をEL34とした場合は容易に回路設計できそうですが、6N6Pとの組み合わせの場合、6N6Pの許容プレート損失を考えると初段のみ電圧を上げる必要があり、ざっと確認した範囲では、適当な電源トランスが見つけられませんでした。終段のみチョークインプット電源回路として電圧を下げる事もできそうですが、初トライの項目が増えるため、今後の製作候補に入れる事にします。

まとめ

上記の検討結果から、初段を12AU7、終段を6N6Pに変更したA級プッシュプルアンプの構成で設計を一旦進めてみる事にします。

 

つづく(設計編1)