製作編12
初段の配線が終わったので通電確認を行います。さらにトラブル発生。
初段通電確認
最初に真空管を挿さずに、初段真空管ソケットの各端子電圧の確認を行いました。
高圧なB電源を引き回した後の最初の通電なので慎重に行います。各端子電圧の測定はテスタのリードによるショートに注意して行いました。結果は以下のとおりです。
ヒーター回路の確認はすでに行っているので省略しています。B電源電圧は変動していましたが、測定時点の値を記載しました。結果は特に問題ありません。次は真空管を挿して通電確認を行います。B電源の残留電圧が下がった事を確認して、真空管を装着しました。
再度ボンネットを取り付けて、初段真空管ソケットの各端子電圧が測定できる状態にします。電源オンすると真空管はチンチンと音を立てながらヒーターが点火しました。B電源電圧をモニタしつつ、安定を待ってから各端子電圧を測定しました。結果は以下のとおりです。
L-chとR-chで様子が異なります。R-chの方がプレート電流が多めに流れています。またグリッド電圧が本来は0mVとなるところが、若干電圧が観測されました。グリッド電圧の状態はよくわかりませんが、L-chのプレート電流の合計が約2.1mAに対して、R-chの電流は2.3mAとやや大きくなっています。カソード電圧もL-chの約1.1Vに対してR-chは約0.8Vと低くなっています。大きな差ではありませんが、気持ちが悪いので対策検討する事にしました。プレート電流は定電流ダイオードで決まるので、R-ch側の定電流ダイオードを試しに交換してみました。結果は殆ど変わりませんでした。続いて、真空管起因の可能性もあると考えて真空管を左右チャンネルで入れ替えてみましたが、今回も結果は殆ど変化ありませんでした。今までの確認結果から原因は真空管ではなくR-chの配線を含む回路側と考えられます。次は真空管の発振を疑い、各部の波形をモニタしてみました。
モニタした結果、発振波形は確認できませんでしたがR-chのプレート端子に僅かですがハムを確認しました。
上の波形がプレート端子波形で、下がヒーター駆動波形です。プレートのノイズ波形はヒーター電圧と同期しています。下の画面コピーは初段の差動出力をモニタしたものです。
センターの赤の波形は、オシロのMath機能を使って差信号を表示しています。差信号はハム波形が打ち消されている事がわかりますが、なんらかR-chはおかしいようです。原因を特定する為に、左右チャンネルの違いを整理してみました。
1)R-chの方が電源/GND配線が長い
2)R-chのヒーター駆動回路巻き線からC電源を生成している
2項について影響の確認をしてみる事にしました。C電源入力へ接続しているヒーター巻き線を一旦外して、L-ch用ヒーター巻き線から電源供給してみました。
もともとの配線はショートしないようにテープで固定して、L-ch用ヒーター巻き線からワニグチ付き電線で電力供給をしました。結果は残念ながら変化ありませんでした。仮に変化があった場合は、対策に困ってしまうので逆に良かったとおもいます。次は、グリッド電圧が0mVからずれる点に着目し、入力回路の配線ループを可能な限り小さくする敷線変更を行ってみました。入力回路の敷線変更は以下のとおりです。
効果を信じて改造したものの、結果は全く変わりませんでした。その他以下の確認も行いましたが全く変化がありません。
・グリッド入力抵抗を2.7kΩから5.6kΩに変更
・グリッドをダイレクトにGNDに接続する
できる事はやりつくしてしまった感じなので、少々なげやりに再度真空管を左右チャンネルで入れ替えてみました。あれれ?プレートのハムが消えている?!信じられない気持ちでL-chのプレート波形を確認したところ、ハムがL-chに移っていました。
波形上がR-chで下がL-chです。今まで電流が大きくなる現象とハムは同一の原因と考えていましたが、ハムは真空管起因である事がわかりました。確認の経緯を改めて思い起こしてみましたが、真空管交換前に波形確認を行っていませんでした。またまたやれやれな結果となってしまいました。今週は疲れてしまったので真空管の追加発注を行って作業を終了しました。次回は真空管を交換して検討の続きを行います。
つづく(製作編13)