High-ch用アンプ製作(製作編16)

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製作編16

前回の記事で発覚した、発振対策をおこないます。

終段暫定調整

発振対策に入る前に、終段のバイアス電流を暫定的に調整します。前回確認した発振レベルであれば調整はできそうです。シャーシに取り付けたチップジャックを使って調整しました。

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最初にRチャンネルの調整を行います。電源オンして安定を待ってからB電源とプレート間の電圧を測定し、前回作成したIp調整用のシートに入力して電流値を算出します。Ipの設計値は20mAです。ボリュームの感度が思ったよりも低い為、電圧が注入されるゲート電圧をモニタしてみました。その結果片側のゲート電圧の調整回路が働いていない事がわかりました。バイアス調整用基板はボス2本で固定している為、端子台への配線時にドライバで基板に応力をかけてしまいハンダがはずれてしまったようです。怪しい箇所を再ハンダしたところ、正しく動作するようになりました。下記が暫定の調整結果です。

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Lチャンネルはそこそこ調整できましたが、Rチャンネルはボリュームをめいっぱい回しても調整しきれませんでした。カソード電圧を下げたくなかった為に調整範囲を小さくした事が原因です。とりあえずこのまま検討を進めて、発振対策が終わった時点で終段の真空管を在庫品と交換してみる予定です。

発振対策1

はじめに現状の整理をします。

・発振は初段だけでは起こらない

・発振周波数は約50MHz

・C電源出力とプレートで観測された

・C電源半端整流波形に同期して一定の期間発振する

改めて発振波形を掲載します。

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最初に対策の効果をわかりやすくする為に、Rチャンネルの終段真空管を取り外しました。

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先にLチャンネルに対策検討を行いますが、仮に効果のある対策が取れた場合に、Rチャンネルの影響で対策がマスクされてしまう事を防ぎます。感電に注意しつつ0.47uFのフィルムコンデンサを各所に接続して、発振波形の状態を確認しました。初めに効果が確認できたポイントは、バイアス調整基板の-5VとGND入力の端子台です。両端子間に0.47uFを接触すると発振波形はやや小さくなりました。早速、バイアス基板にフィルムコンを取り付けました。

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次に効果が確認できたポイントはC電源用の入力端子台です。ここに0.47uFを取り付けたところ、(本記事アイキャッチ写真参照)発振はだいぶ小さくなりました。

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この結果から、真空管内部のカソードとヒーター間の電気的な結合によりループが成立して発振していると考えられます。一旦この状態で取り外したR-chの真空管を再度取り付けてみました。ややや、改善した発振レベルが復活!さらに対策が必要です。

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改めて電源回路図をじっと眺めてみました。

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C10が上記の対策で追加したフィルムコンデンサーです。これ以上コンデンサによる対策はできそうにないので、インダクタをヒーター回路に入れてみる事にしました。早速秋月電子の通販ページを参照し、取り付けと50MHzに対するインピーダンスを考慮して下記の3種類を注文しました。

1)A823LY-100K(10uH/1.9A:3.1KΩ)

2)LHL13NB470K(47uH/2.8A:15KΩ)

3)トロイダルコイル(100uH/3A:31KΩ)

括弧内は部品仕様と50MHzインピーダンス値です。せっかく発注するので、初段の電流調整用に1mAのCRDを20個一緒に注文しました。次回は発振対策の続きと初段の電流調整を行います。


つづく(製作編17)