High-ch用アンプ製作(まとめ編1)

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まとめ編1

製作と調整が終わったので周波数特性の測定を行います。

動作確認

周波数特性の測定前に、動作確認を行いました。確認は10cmフルレンジスピーカーに接続して音楽を聴きます。入力は、USBDACのバランス出力をバランスボリュームユニットで受けて、その出力を製作したアンプに入力します。写真にはスピーカーは写っていませんが、fostex FE103ENを使った自作バスレフ方式のものを床置きしています。

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ボンネットには保護用の段ボールを貼ったままですが、発熱が少ないので短時間の使用では問題ありません。アンプの上がバランスボリュームユニットです。念のためスピーカー出力をオシロでモニターしています。ひとしきり聴きましたが、いい感じです。

周波数特性測定

動作確認ができたので、今回の製作で一番のキーポイントの周波数特性の測定を行います。発振器の出力を、バランス変換ボリュームユニットに入力してバランス信号に変換し、アンプに入力します。アンプ出力には8Ωのダミー抵抗を接続します。ゲインは、オシロスコープで入力と出力を観測し、それぞれのレベルから算出します。

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入力は0.2Vppの正弦波として、周波数を10Hzから1MHzまで振りました。写真は1KHz測定時のものです。

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出力レベルは1.9Vppです。ゲインは19.6dBで、ほぼねらいどおりです。信号はHot入力とHot出力を観測しているにもかかわらず、反転しています。後で出力トランスの一次側を反転させて対応したいとおもいます。また10Hzの出力波形はかなり歪んでいました。使用した出力トランスのサイズでは仕方がないとおもいます。それも周波数を15Hzに上げると改善します。まずはL-chの測定を行いました。(本記事のアイキャッチ写真は100KHz測定時の入出力波形)

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HotとColdの測定を行い、合成した結果を総合のラインで示しています。ん~、カットオフ140KHzの目標でしたが達していません。80KHz弱というところでしょうか?原因を絞る為に、初段の周波数特性を測定してみました。結果は以下のとおりです。

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初段で特性が決まっているように見えます。トータルの周波数特性と初段の周波数特性をゲインを正規化して比較してみました。

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肩特性を比較すると、初段の方がカットオフが低くなっています。これは測定のためのプローブの容量の影響でしょうか?

初段出力部影響の検討

確認の為に試算をしてみました。アンプトータルのカットオフ周波数が初段の出力抵抗と終段の入力部の容量で決まっていると仮定します。具体的には初段出力部にプローブを当てた時にカットオフ周波数が上記の結果のように下がるのか検証しました。下記が検証用のラメータです。

初段の出力抵抗rp=18kΩ
アンプトータルのカットオフ周波数:約80KHz
初段測定時の初段カットオフ周波数:約60KHz
オシロスコープのプローブ入力容量:20pF
初めに終段入力部の容量Cinを求めました。
Cin = 1/(2π x 80K x 18k) = 110pF
次に初段にプローブを当てた時のカットオフ周波数を求めてみます。
fcm = 1/(2π x (110p+20p) x 18k) = 68KHz
初段のカットオフ測定結果60KHzと近い値となりました。設計編2では、終段の入力容量を65pFで見込んでいましたが、おそらくバイアス抵抗回路の配線容量、カップリングコンデンサとシャーシ間の容量などで45pF加わった事で、カットオフの設計値自体が約80KHzとなってしまったと考えられます。下記は設計編2の試算式です。

fcd = 1/(2π x 65p x 18k) = 140KHz

(構想編2と設計編1と2を参照)さらに帯域を広くするためには初段にSRPP方式を導入して、初段の出力インピーダンスを下げるか、無帰還を諦める必要がありそうです。やれやれ。次回は念のため他の部分の影響の確認を行ってみます。

 

つづく(まとめ編2)