まとめ編3
Hi-ch用の6N6Pppアンプが完成したので音を聴いてみます。
音聴き1
初めに、このアンプの個性を確認するためにロクハンフルレンジスピーカーを接続して音を聴いてみました。使用したスピーカーはFostexの16cmフルレンジユニットFF165WKを専用のエンクロージャに納めたものです。
普段はマルチアンプシステムで聴いているので、フルレンジスピーカーの音は新鮮です。1000Mの上に置いての試聴の為、低音は不利ですが、ユニットのセンターが耳の位置となるため、逆に高音は有利な設置状態です。スピーカーの能率が92dB/W(1m)という事もあり、出力2Wでも十分な音量で鳴らす事ができました。ピアノ伴奏のみの女性ボーカル曲の定位がいい感じでした。大編成の演奏の楽曲はフルレンジスピーカーでは逆に荷が重い印象です。このスピーカーで音を聴いた限りでは素直な音の印象です。一通りの楽曲を堪能したのでマルチアンプシステムへ組み込みます。
マルチアンプシステム組み込み
組み込む前に現状のシステムの音を記憶するために、しばらく音楽を聴きました。下記が現状システムのブロック図です。
音が耳に馴染んだところで、Hi-ch用アンプとしてシステムへ組み込みます。最初はチャンネルデバイダーのレベル合わせを行います。下記が現状システムおよび今回製作したアンプのゲイン一覧表です。
この表からHi-chの出力レベルを組み込み時に2.2dB上げる必要があります。方法はTEST CDを使って10KHz/0dBの正弦波をリピート再生させ、チャンネルデバイダ出力をオシロスコープでモニタして、現状よりも2.2dB(1.29倍)レベルが上がるボリューム位置にマーキングをします。
上の写真は調整時のものです。チャンネルデバイダ出力を、12chアッテネータの入力でモニタしています。下記がオリジナルの状態の波形モニタ結果です。
レベルは1.5Vpp丁度でした。このレベルを1.93Vpp(1.29倍)となるようにHi-chのボリュームを調整します。
チャンネルデバイダのHi-ch用ボリューム位置に剥がせるシールを貼ってマーキングしました。
Mid-chにも2つのシールが貼られていますが、現行のEL34ppアンプ#2用とEL34sglアンプ用の2つのボリューム位置を示しています。これで組み込み完了です。組み込み後のシステムのブロック図は下記となりました。
音聴き2
普段聴いている楽曲をはじから再生してみました。
音が明らかに違います。音の印象を順不同に箇条書きします。
・音場の透明感が増した
・音場の奥行き感が増した
・打楽器の鳴り物が生き生き鳴る
・弦楽器がつややかに鳴る
・ビブラフォンの響きがいい
Mid-ch用アンプの入れ換え時の変化に比べて格段に違いが聴きとれました。楽曲によってはLow-chが負けている感じがします。正直予想外の印象です。さらに普段あまり聴かないCDも引っ張り出して、時間も忘れて聴き入ってしまいました。この効果を体感してしまうと、初段にSRPP回路を適用した一層広帯域なアンプを設計してみたくなりました。今後の課題リストに改めて追加します。次回は今回の設計製作の総まとめを行います。
つづく(まとめ編4)