まとめ編4
今回の設計と製作の総まとめを行います。
今回の設計について
製作前1000Mマルチアンプシステムのブロック図
Mid-chとHi-chは同一設計のEL34ppA級アンプを使っていました。
Hi-ch用EL34ppA級アンプ#1周波数特性
前々回の記事の特性比較は、Mid-ch用の#2アンプとの比較となっていました。Hi-ch用の#1アンプの方がやや高域特性が劣っています。
設計製作の方針
今回の設計製作の背景と方針は以下のとおりです。
・EL34pp#1アンプはNon-NFBの為に帯域的20KHzに対して余裕のない状況
・真空管の選択と回路定数見直しにより広帯域化する
回路
真空管
初段は双三極管12AY7を、終段は双三極管6N6Pを選択しました。
真空管特性比較表
現行アンプで使っている真空管と、今回採用検討した真空管のパラメータ比較表です。
6N6Pppアンプ回路図
真空管HPアンプの回路を流用し、Non-NFB化と回路定数を見直しています。
出力トランス
出力トランスは春日無線のKA-5-54Pを東栄変成器のトランスケースSに納めて使用しました。
電源
電源回路
電源回路は真空管HPアンプのものを流用しました。電源トランスを春日無線のKbm100F2に変更しています。
電源基板
電源基板も真空管HPアンプ用電源実装を踏襲しています。
アンプシャーシ
シャーシ選定
サイズに迷いましたが、結局現行アンプと同じリードMK-380に決めました。
フロントパネル
EL34ppアンプ#2の設計を踏襲しました。
リアパネル
リアパネルもEL34ppアンプ#2の設計を踏襲しました。
シャーシ
EL34ppアンプに比べて電源トランスが小さくなった事と、搭載真空管が2本少ないため余裕を持った配置となっています。
配線
後でトラブルが起こっても追っかけやすいように被覆の色を選択して、直角な敷線を心掛けました。すっきり仕上がったとおもいます。
トラブル
発振
真空管アンプで初めて発振対策を行いました。写真上は終段の2つのプレート出力とその差信号をモニタしています。写真下はC電源整流波形と発振波形ですが、両者が同期している事がわかります。
対策
真空管のヒーター回路にインダクタを入れて対策しました。写真上が検討時の状態で、写真下が最終的な実装状態です。
特性
ゲイン
マルチアンプシステムで使用しているアンプのゲイン比較表です。
周波数特性
下記がL-ch/R-chの周波数特性の測定結果です。30KHzまでフラットでカットオフは約80KHzです。
従来のHi-ch用アンプEL34ppアンプ#1と特性比較を行いました。比較しやすいようにゲインを正規化しています。
アンプ外観
搭載真空管が少ないので、すっきりしています。
部品表
対策部品等を追加した最終版です。
電源部品表
アンプ部品表
まとめのまとめ
今回のアンプをシステムに組み込んだ印象は、予想以上に変化が大きかった為、さらに広帯域のアンプの設計にトライしてみたいと思います。
2月に構想をスタートし、約3ヶ月強、おつきあいいただきありがとうございました。次回は今までとは趣向を変えた設計を構想します。お楽しみに!って私がですが・・・
おわり(まとめ編4)