構想編2
前回の調査でTIのPCM1792Aを採用したデジットキットが良さそうだったので詳細を調べてみます。
DACチップ実力
前回の記事では、入手可能な出来合い基板間でDAC ICのスペック比較を行いましたが、次は現行のUSB_DACに搭載されたチップとの比較を行います。onkyoのDAC-1000はTIのPCM1795を2個搭載しています。検討中のLSIよりも数字が大きい=新規設計=高性能と嫌な予感が頭をよぎりました。念のため、DAC-1000の仕様をピックアップします。
周波数特性:2Hz~48KHz(+0/-0.5dB)
全高調波歪率:0.003%(-90dB)
SN比:116dB
続いてDAC IC自体の性能比較を行ってみました。
これを見ると、DAC-1000搭載のPCM1795の方が対応入力信号の分解能は高いですが、それ以外はデジットキット採用のPCM1792Aの方勝っています。特にデジタルフィルタの性能は格段に違っています。TI発行の技術資料に特性のグラフが掲載されていたので転載します。
これらの結果からPCM1759からPCM1792Aへの乗り換えはDAC性能上ありと判断しました。技術資料にも記載がありましたが、これらスペックで唱われている数値の実現は、ICのスペック以上に、アナログ回路、電源回路および使いこなしで決まるレベルのものです。
DAC_1792_Bデジットキット
次に共立エレショップで販売されているデジットキットDAC_1792_Bについて調べてみました。
資料がWeb上で公開されていて助かりました。デジットは大阪のメカトロ&エレクトロパーツ販売店で、そこがキット化した商品です。組立説明書の日付は2014年8月となっているので、約6年前に商品化されたもののようです。組立説明書記載の唱い文句と主な仕様をピックアップします。
・24ビット192kHzサンプリングに対応
・超低歪み(0.0004%)
・試作実験用D-Aコンバータ単独基板
・使用IC:PCM1792A(TI社)
・サンプリング周波数:10kHz~200kHz
・対応フォーマット:24ビットI2S(デフォルト)
レジスタ設定で他のフォーマットも使用可
・出力:電流出力(差動)
・電源電圧:3.3V(デジタル)/5V(アナログ)
・基板寸法:約56 x 33mm
・M3ねじで取り付け可能
・PCM1792Aのみはんだ付け済み
参考に組立説明書に掲載されている回路図も転載させていただきます。
上記のとおり、今の私レベルに丁度良いキットです。この回路図が示すとおり、この基板単独でCDプレーヤーのデジタル信号をアナログ化する事はできません。そこは考えられていて、周辺回路もブロックごとに分解されてキット化されていました。
WM8805_G Rev.2デジットキット
このキットは「S/PDIF信号の受信機能と送信機能を1チップにまとめたWM8805(Wolfson社)使用DAIトランシーバ実験基板」として販売されているものです。
この組立説明書に下記のブロック図が掲載されていました。
上記ブロック図に掲載されたキット群を購入する事で、S/PDIF信号をアナログ化する事ができます。このキットの主な仕様を転記します。
・仕様IC:WM8805(Wolfson社 トランシーバ)
・対応サンプリング周波数:32kHzから192kHz
・動作設定:ハードウェアモード(ジャンパ設定)、ソフトウェアモード
・対応フォーマット:16ビットI2S、24ビットI2S、24ビット左寄せ16ビット右寄せ
・電源電圧:3.3V(デジタル部、PLLクロック部とも)
・基板寸法:66 x 39mm
・M3ねじで取り付け可能
・フラットパッケージICと高精度水曜発信モジュールはんだ付け済み
ブロック図が示すとおり、ブロック毎にキット化されていて、価格の面では高くなりますが、改造の自由度は高そうです。さらにこれらキットについて検討を進めてみます。
つづく(構想編3)