DACユニットの検討(設計編1)

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設計編1

基本方針が整理できたので、ブレッドボード製作の為の設計を行います。

DACユニットブロック図

キットの応用編に掲載されたブロック図を基に、今回製作するDACユニットのブロック図を作成してみました。

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基本構成は変えていませんが、DAコンバーター基板以降を2チャンネル化しています。オーディオシリアル信号とシステムクロックを単純に分岐させていますが、問題ないか気になります。平衡不平衡変換回路は自作予定です。DAコンバーター基板をモノラルモードで動作させるために、制御用にマイコン基板を追加しています。DAIトランシーバー基板もI2C制御可能ですが、ハードウェアモードの設定範囲で事足りそうなので、制御対象から外しています。このブロック図には入れていませんが、表示用にLCDパネルも追加する予定です。

DACユニット電源

デジタルオーディオ実験基板応用篇の説明書に下記の電源回路図が掲載されていました。

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オーディオアナログ回路用に+/-12VとDAC用の+5V/+3.3Vを三端子レギュレータで生成する電源基板です。一旦、この回路を拡張してDACユニット用に下記の回路を描いてみました。

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単純にarduino UNO用に5V電源を追加しただけのものです。arduino UNOへの給電方法はいくつかありますが、USB端子経由で5V供給前提としています。

電流電圧変換回路確認

続いてデジットキットを使用予定の電流電圧変換回路の動作を確認します。TIの技術資料から電流電圧変換回路への入力は下記のとおりとなります。

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電流出力といっても全動作領域で電流吸い込みモードとなっています。この結果から電流電圧変換回路出力は下記となります。

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ピーク出力電圧は10Vを越えています。電源電圧が+/-12Vで足りるか気になりOPA2134の仕様書を確認してみました。下記は電源電圧+/-15V時の最大出力電圧を示しています。

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この結果でも+/-20Vppぎりぎりの状態を示しています。続けて平衡不平衡変換回路に使用予定のMUSE01の特性も調べてみました。下記は電源電圧+/-15V時の出力レベルvs歪み率特性を示しています。

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横軸の出力電圧がVrmsで示されていますが、出力10Vピークを安心して得るためには約7Vrmsの出力が保証されれば問題ないと言えます。この特性からもオーディオ用電源電圧として+/-15Vは必要と考えられます。この理解を基に改めてDAC_1892_Bの組立説明書を見直したところ、下記のブロック図が掲載されていました。

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この図では、アナログ回路への供給電源電圧は+/-12~15Vと表記されていて、オーディオ回路への電源として+/-15Vの必要性が表現されていました。

電源回路見直し

せっかくDACユニットを自作するので、既製品にはできない贅沢をすべきと考えて、上記の検討結果も踏まえて回路の見直しを行いました。

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オーディオアナログ回路用の電源電圧を+/-15Vにあげて、なおかつすべてL/Rチャンネル独立電源としました。まだケースを選定していない為、回路規模を考えずに見直しを行った結果です。電源トランスの見直しも行いました。上記回路では2次巻き線として15V/1Aを2巻き線のものを選定しましたが、ワンクラス下の15V/0.2A品でもいけるかもしれません。ここも自作の贅沢として選定を行った結果です。マイコン用電源も見直しを行い8Vとして、DCジャックから供給する方式に変更しました。電源ランプ用の電源は、マイコン用8V電源の全波整流電源から供給することにしました。このランプは他の製作でも使用している自照式の電源スイッチを前提としていて、12Vの供給が必要です。次回は残った平衡不平衡回路の設計を行います。

 

つづく(設計編2)