DACユニットの検討(設計編2)

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設計編2

残る平衡不平衡変換回路及び制御回路の設計を行います。

位相とレベル確認

平衡不平衡変換回路設計前に、各基板間の位相の確認を行います。初めにオリジナル回路を前提に確認をしました。DAC出力仕様を改めて確認します。

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上記のとおりプラス出力はデジタル値が上がるにつれて負の電流値が減ります(正の電流値が増えます)。それを下記の電流電圧変換回路に入力します。

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1ピンにマイナス信号が入り、出力はプラスに変わります。それをさらに下記の平衡不平衡変換回路に入力します。

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その結果2倍の正相信号が得られます。上記を改めて整理しました。

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今回の製作ではDACをモノラルモードで使用するため、上記の確認結果を基に修正しました。

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図はRチャンネルを選択したDAC基板のラインです。レベルも確認します。DACからは7.8mAppの電流が出力されます。それを1kΩの負荷抵抗の電流電圧変換回路に入力するので、その出力は7.8Vppに変換されます。それをゲイン1の平衡不平衡変換回路に入力するので、その出力は15.6Vppの出力となります。さらにこの信号がバランス出力される為、出力は31.2Vppとなり、実効値に変換すると約11.1Vrmsのバランス信号となります。現状のDAC-1000の平衡出力レベルは4Vrmsなので、出力を36%に絞れば現状と同等のレベルにあわせる事が可能です。

平衡不平衡変換回路

上記を踏まえてMUSES01を前提に回路を作成してみました。

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当初、反転入力と非反転入力の前段から見た入力抵抗を合わせる為に、10KΩの抵抗を反転系と非反転系で変える事も考えましたが、その場合に同相除去比が悪化する事に気づき全て10KΩとしました。半固定抵抗は出力オフセット調整用です。

制御用マイコン基板

DAC基板の制御用にarduino UNOを使用します。DAC基板は、SPIとI2Cの2種類の制御が選択できます。今回も12チャンネルアッテネータで7セグ基板制御で実績のあるI2Cインターフェースを選択しました。表示も同様にI2C制御可能なLCDパネルを選択します。スイッチサイエンスの通販ページを眺めてみて下記のパネルに決めました。

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型式はSFE-LCD-14073です。価格は2,844円でした。主な仕様は以下のとおりです。

表示仕様:16x2 RGB文字 黒背景

通信方式:シリアル、I2C、SPIから選択可能

I2Caddress:0x78(デフォルト)

他機能 :ソフトコントラスト調整機能

電源電圧:3.3V

という事で今回の用途では十分な機能です。5V品が希望でしたがなかったので仕方なく3.3V品を選択しました。arduino UNOのI2Cは5VトーレラントなのでI2Cラインに双方向のレベル変換回路を入れる必要があります。秋月電子のサイトで確認したところ、150円で変換基板が手に入る事がわかりました。

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回路図は以下のとおりです。

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実装は、LCDパネルのI2C端子に接続して、5V互換のI2C仕様に変換します。これで一通りの設計が完了しました。DACユニットの製作は初めてなので、最初はアルミ板金にスタッドを立てて、各基板を固定したブレッドボード状態で検討を進めたいとおもいます。本記事のアイキャッチ写真はDAC-1000の基板です。今回の製作ではこれほど実装密度をあげられない為、特性が越えられるか心配です。次回はブレッドボードの設計を行います。

 

つづく(設計編3)