DACユニットの検討(製作編8)

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製作編8

I/V変換基板組立の残りを行い、前回実装完了した平衡不平衡変換基板の通電と動作確認を行います。

I/V変換基板実装

製作編5で1KΩ抵抗4本の実装を残して終了していました。基板パターンは1/6Wサイズ前提で作られていますが、抵抗の在庫は1/2Wサイズのものしかなかった為、追加発注をかけていました。

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購入したものは、1/4W品でありながら1/6Wサイズ相当の小型金属皮膜抵抗です。さっそく実装してみました。

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キットの基板は、実装で余程の事をやらかさない限りおかしな事は起こらないので、通電確認は省略して後でまとめて動作確認を行います。

I/V変換回路

せっかくなのでI/V変換回路を改めて眺めてみました。下記が組立説明書に掲載されている回路図です。

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1KΩと2200pFで-6dB/Octの一次フィルターが構成されます。カットオフ周波数は約72KHzです。PCM1792Aは8倍オーバーサンプリングのデジタルフィルタが搭載され、フィルタの特性は下記のとおり謳われています。

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CDの場合fs=44.1KHzなので、デジタルフィルタが有効な4fs周波数は約176KHzとなります。上記の一次フィルターでは4fs周波数で-15dBも減衰できません。はたしてこんな軽いフィルターでいいのか気になります。仮にこの帯域以上の量子化ノイズが出力されても、High-ch用のパワーアンプが無帰還の真空管アンプの為、アンプの能力的にスピーカーまで出力される事はないので、現時点では気にせずにこのまま進める事にします。

平衡不平衡変換基板通電確認

最初にRチャンネルから行います。電源はユニバーサル電源から+/-15Vを供給しました。念のため過電流保護は50mAにセットしています。まずはオペアンプを装着せずに通電して、オペアンプ用ソケットの各端子の電圧を確認しました。念のため回路図(誤記訂正版)を再掲載します。

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電源端子以外は、GND電位で問題ありませんでした。一旦電源をオフしてオペアンプを装着します。秋月電子のMUSES01には8pinのソケットが添付されています。

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MUSES01のリードフレームは無酸素銅を採用しているため、端子の強度が弱くオペアンプの抜き差しで端子を曲げてしまう恐れがあります。添付のソケットに挿す事により、以降の抜き差しはソケットの端子が使われるので強度の問題はなくなります。リードフレームに無酸素銅を使用している意味がなくなる気がして、当初は添付のソケットを使用していませんでしたが、一回痛い目を見てから使用する事にしています。

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電源オンしましたが、出力オフセット電圧も問題なく正しく動作しているようです。続いて動作確認を行います。最初は1Vppの正弦波を入力して周波数特性を確認します。本記事のアイキャッチ写真が測定風景です。1KHzを入力して出力を40%に調整しました。下記が観測写真です。

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黄色が入力波形で、青が出力波形です。反転入力なので位相が反転しています。この設定で周波数を10Hzから1MHzまで振ってゲインの測定を行いました。次に0dB時を想定して入力電圧を8Vppに上げました。下記が周波数1KHz時の観測波形です。

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青が出力波形です。出力を40%に絞っているので波形のレベルは3.2Vppとなっています。特に波形の乱れはありません。1Vpp時と同様に周波数特性の測定を行いました。結果は以下のとおりです。

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出力を40%に絞っているのでゲインは約-8dBです。400KHzくらいまではフラットです。入力1Vppの時は、1MHzで約1dBゲインが上がっています。8Vpp入力時は約600KHzでピークとなりそれ以上の周波数で減衰していました。次回はRチャンネル非反転入力系の動作確認を行います。

 

つづく(製作編9)