DACユニットの検討(製作編10)

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製作編10

平衡不平衡変換基板の動作確認を行ってきましたが、今回は0dB信号再生時の動作シミュレーションを行います。

0dB信号入力シミュレーション

この基板の動作確認の最後は0dB信号入力時のシミュレーションです。方法は各系統に0dB再生時にI/V変換回路から出力される信号相当を入力して波形観測を行います。改めてI/V変換回路を掲載します。

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具体的には、2.3V~10.1Vがピークとなる7.8Vppの正弦波を差動入力して出力波形を観測します。実験では設定を間違えてしまい入力電圧が7.2Vppになっています。信号は発信器の2ch分の出力を使用します。私の使用している発信器は出力2ch分を独立して設定できるので、この発信器を使って差動信号を生成しました。

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50Ω負荷とすると出力レベルが上がらないため、今回の測定では外しました。また出力オフセット設定機能もありますが、上限で120%までのため、完全なシミュレーションはできませんでした。

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下記が設定を駆使して作った信号です。

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信号の下限値が0.44Vで上限値が8.16Vの7.72Vppの正弦波です。DCオフセット電圧が2V弱足りませんがこれで進めます。波形は1KHzですが、20KHzの確認も合わせて行いました。写真は1KHz入力時のRチャンネルHot出力は観測結果です。

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黄色が正相の入力信号で青が出力信号です。波形はモニタしていませんが、逆相の信号も同時に入力しています。また出力信号のモニタは端子台ではなく、オペアンプの出力端子を直接モニタしているため、出力分圧回路による減衰はしていません。入力7.2Vppに対して出力は14.4Vppとなっています。画面上、y1=7.2V、y2=-7.2Vと差動入力によって出力信号のオフセットもキャンセルされている事も確認できます。同様の観測を進めましたが各チャンネルで問題なかったので観測結果は抜粋して紹介します。下記はLチャンネル1KHz入力時のCold出力波形です。

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この波形も問題ありません。最後に周波数を20KHzに上げてみました。

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こちらも問題なく動作しています。市販のDACユニットの中には、0dBでクリップするものがあり、なおかつ音がいいと言われるものもあるそうです。昔のCDに比べて最近のCDの録音レベルが高くなっている印象があり、総じて音がいい気がしています。機器の性能アップもあるとおもおいますが、録音レベルアップによりそれぞれのブロックのDレンジが有効に使われている事も一因でしょうか?このDACの終段のオペアンプの出力は0dB時に15.6Vppとなります。それを差動出力するため、31.2Vppとなります。この時の各オペアンプ出力の実行値は約5.5Vrmsとなりますが、それが差動出力されるため出力は約11Vrmsとなり、それを約36%に絞って4Vrmsの信号とする予定です。こんな事を考えていると、早く音を聴いてみたくなってきます。上記のレベルを回路図上に整理してみました。

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次回はパルストランス基板の実装から再開します。

 

つづく(製作編11)