DACユニットの検討(製作編17)

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製作編17

DAC基板出力とI/V変換基板入力を接続して、DACの動作確認を行います。尚、夏休みの為作業が進むので、8/21まで1日おきに記事をアップロードしていきます。

DAC基板配線残り

前回の記事でDAC動作確認に必要な配線が完了したとしましたが、I/V変換基板との接続が残っていました。現時点で接続が完了した部分は以下のとおりです。

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DAC基板からは、2つの差動信号が2つのピンヘッダから出力されます。応用篇の説明によると、この部分も電線を撚る指示がされていました。この部分も撚るかわりに2芯シールド線を使用する事にしました。シールド線はいつも使っているベルデンの1503Aです。DAC入力部のケーブル加工と同様に熱収縮チューブを駆使して加工しました。まずは1本目が完成しました。接続するとこんな感じになります。

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もう1本作成する必要があります。応用篇の実体配線図を見ると、こちらの接続ではGND配線をしない指示となっていました。

 

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おそらく、ハム対策ではないかと考えられます。この指示に従って、シールドラインの接続を、I/V変換基板のコネクタ側でしない事としました。目で見てわかるように写真のとおり加工しています。

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完成したケーブルでDAC基板とI/V変換基板を接続すれば、今度こそDACの動作確認に必要な配線は完了です。

DAC動作確認

DACの動作確認は、EIAJのテストディスクを再生して、各部の信号をオシロでモニタします。まずは0dB 1KHzの正弦波をリピート再生させてブレッドボードの電源をオンしました。発煙等なく、まずは一安心です。波形の確認ポイントは、I/V変換出力です。

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2chあるオシロのプローブをHotとCold端子に接続しました。

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黄色がHotで、青がColdです。赤はオシロの演算機能を使って差信号を表示しています。出力信号は反転していて、それぞれのレベルは7.8Vppです。差信号のレベルは15.6Vppとなっており、想定どおりの動作をしている事が確認できました。再生するトラックナンバーを変えて、20KHz 0dBを再生してみました。

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やや波形の滑らかさは悪化したものの、1KHz時と同様の位相関係とレベルの確認ができました。次は-20dB 1KHzを再生してみました。

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波形にノイズは乗っているものの、0dBと位相関係は同等です。レベルは780mVppとなるはずですが、ノイズによるカーソル位置の誤差によりやや大きな値を示しています。ノイズが気になったため、ポーズ状態の波形も確認してみました。予想よりも大きなノイズを確認したので、オシロの掃引速度を上げてみました。

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差動信号で89mVppを観測しました。0dB再生時の出力波形との比較を行うと以下のとおりです。

20 x log (15.8 / 89E-3) = 45dB

試しに両信号を加算してみました。

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ノイズレベルは63mVppまで下がりました。ピークはビットクロックの漏れ込みのようです。加算で消えた波形は明らかに信号系で加えられているもののようです。このオシロにはFFT機能がついていることを思いだし、周波数解析をしてみる事にしました。最初に1KHz 0dB再生時のものです。

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1KHz 0dBの信号が-10dBとして観測されています。次に1KHz -60dBの信号を再生してみました。

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1KHz -60dBの信号が-70dBとして観測されています。続いて無信号時を確認してみました。

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この場合のノイズレベルは-82dBと観測されました。CDのダイナミックレンジ換算で72dB(-10+82)と計算できます。最後にシステムの電源をオフして同様の測定を行ってみました。

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ノイズレベルは、-99.6dBを観測しました。測定結果に対して測定系に少しですが余裕があります。Dレンジ72dBはCDとしては不十分ですが、最初に確認したノイズ波形は、ディザ等含めた量子化ノイズの可能性ががあります。一旦ノイズの検討は保留して製作を続けたいとおもいます。

 

つづく(製作篇18)