DACユニットの検討(製作編23)

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製作編23

平衡不平衡変換回路の入力配線を行い全基板をバランスモードで動作させます。

平衡不平衡基板

前回の記事で無音トラック再生時に残留していた波形は、PCM1792Aが生成しているディザ信号である事が確認できました。この信号をそのまま出力させない為にフィルタの追加が必要と考えていたところ、TIの資料中の特性測定用の回路に参考情報を見つけました。

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この回路はバランス動作モード用の特性測定回路です。この回路図を見ると平衡不平衡変換回路に一次フィルタ特性を持たせています。カットオフ周波数fc=162KHzと記載されています。この回路を参考に実装済みの平衡不平衡変換回路を改造する事にしました。上記カットオフ周波数を参考として、以下のとおり回路を変更します。

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この回路のカットオフ周波数fcは164KHzで、上記の測定用回路とほぼ同等です。手持ちのコンデンサを探したところ、あまり良質ではありませんが在庫を見つけました。基板を取り外して改造を行いました。トータル8個のコンデンサを取り付けました。4個は部品面に取り付けられましたが、残り4個は半田面取り付けです。

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単純な改造なので、単体の通電確認は省略しました。

IV変換基板出力ケーブル作成

IV変換基板と平衡不平衡基板接続用のケーブルを作成します。1枚のIV変換基板から2系統のバランス信号が出力されます。接続端子は3極のピンヘッダです。平衡不平衡変換基板の入力は端子台です。ピンヘッダ接続用に3極のQIケーブルのコネクタを使用し、それを2芯シールドケーブルにつなぎ替えます。この仕様で4本のバランス用のケーブルを作成します。写真は作成したケーブルです。

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端子台側の電線も3本とも繋ぎかえて、Hotを赤,Coldを緑,GNDを黒としています。ちょっとうんざりしましたが、一気に4本作成しました。作成したケーブルでIV変換基板と平衡不平衡変換基板を接続しました。

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結構配線が込み合っていますが、これで全基板の接続が完了しました。

通電確認

通電用のソフトは、前回の記事でInfinite Zero Detect機能確認に使ったものをそのまま使用します。R-chのみINZD=1の設定です。無音状態で電源オンして、平衡不平衡変換基板のオフセット調整を行いました。一番オフセットの大きなチャンネルで約15mV程度でした。残念ながら現状の調整回路ではオフセットが取り切れませんでした。一度定数変更して調整範囲を広げたものの、このレベルは想定していませんでした。一旦平衡不平衡変換基板を取り外して、再度定数変更を行う事にします。現行の回路は本記事で掲載していますが、現状20KΩとなっているR07とR17の定数を再調整します。20KΩに1KΩを並列接続して様子をみました。最大55mV程度のオフセット調整ができる事を確認しました。本記事のアイキャッチ写真は確認時の様子です。この回路ですが、調整量が大きい場合、半固定抵抗の接点に最大で15mA程度電流を流す事になってしまうため、あまり良い回路とは言えませんが、いまさらなので目を瞑る事にしました。修正回路図は以下のとおりです。

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4カ所ともに実装されている20KΩの抵抗を取り外して、代わりに1KΩの抵抗を付けなおしました。改造基板をブレッドボードに取り付けて、無音状態で改めてオフセット調整をやりなおしました。全チャンネルともの+/-0.2mV以下に押さえる事ができました。今度こそ、全基板の動作確認ができます。現状のブレッドボードの状態は以下のとおりです。

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次回は全基板の動作確認を行います。

 

つづく(製作編24)