DACユニットの検討(製作編24)

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製作編24

全ての基板の実装と接続が終わったのでユニットトータルの動作確認を行います。

動作確認

平衡不平衡変換回路出力は、単体動作確認時に0dB再生時に6Vpp出力となるように調整してあります。まずはL-ch 1KHz 0dB再生波形を確認しました。

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この状態で周波数スペクトラムを確認してみます。

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次に1KHz -60dB再生時の波形を確認してみました。

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あまり良い状態ではありませんが波形は視認できています。カーソル位置設定が悪く、本来12mVppとなるべきところ、大きめな数値が表示されています。続けてこの状態のスペクトラムを見てみます。

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この結果から、Dレンジは約82dBと読みとれます。オシロのMATH機能を使ったバランス出力波形をみると各相単体出力よりもノイズが相殺されているので本来の実力を確認するためには、ジグ基板をつくってバランス波形のスペクトラム解析が必要です。後で製作して確認してみたいとおもいます。続いて無音時のスペクトルを確認します。

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-60dB観測時からカーソルを動かしていませんが、1KHzのスペクトルが消えただけで他の帯域に変化はありませんでした。次にこの状態で観測する帯域を広げてみました。

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約250KHz付近でノイズレベルが最大となり、-60dB再生時のレベルを越えています。High ch用のパワーアンプ真空管アンプの為、この帯域のノイズがスピーカーまで伝送される事はありませんが、あまり気持ちのいいものではありません。次はRチャンネルの確認を行います。1KHz 0dBと1KHz -60dBの波形および-60dBのスペクトラムです。

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-60dB観測時にプローブ倍率をx1に切り替えた為、FFT結果の表示の値は変わっていますが、DレンジはLチャンネルと変わりはありませんでした。次は無音時のスペクトラムを確認してみます。

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INZD機能が働いて5KHz以上のノイズレベルが格段に下がっています。この結果からINZD機能オフとした状態のノイズレベルの改善の余地があると考えられます。一旦現状を整理してみます。

・1KHz -60dB再生時のダイナミックレンジは約82dB

・上記はアンバランス出力時なのでバランス出力で改善の可能性がある

・通常動作無音時のノイズレベルも約-82dB

・INZD=1とした時の無音時のノイズレベルは約-110dB程度

・現状の2次フィルタの段数を増やす事で通常動作時のノイズレベルが下げられる

測定ジグの作成

上記のまとめから、バランス出力の特性測定とさらに2次のアクティブフィルタを追加した場合の特性の測定をする事にしました。これらの測定を行うためにジグを製作します。構成はオペアンプを使った平衡不平衡変換回路と2次のアクティブLPFを製作します。LPFはチャンネルデバイダで採用したサレンキー方式とします。下の図がサレンキー2次LPF基本回路です。

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fc = 1/(2πC2R2)

C1 = KC2

R1 = R2/K

カットオフ周波数を150KHz前後、K=1.4(ベッセル特性)として定数を検討しました。表は手持ちのコンデンサ、抵抗を使って定数検討するためのツールです。

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左列に手持ちのコンデンサ容量を入れてその右に手持ちの抵抗値を入れるとカットオフ周波数が計算されます。さらに右隣にK=1.4としたときのR1とC1が算出されます。さらに右隣に算出されたR1とC1の値を参考にして手持ちの定数を入力すると、その値を使った場合のK値が計算されます。そのK値が1.4に近いものを選定しました。この結果を基に回路図を作成しました。

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次回はこのジグを製作して特性の測定を行います。

 

つづく(製作編25)