DACユニットの検討(製作編28)

f:id:torusanada98:20200901121836j:plain

製作編28

製作したジグの周波数特性の測定を行い、ジグ基板を使ってDACユニットの特性を再測定します。尚、次回からは従来どおり週2回のアップロードに戻します。

ジグ周波数特性測定

初めに今回実装した2次LPF2段の周波数特性の測定を行います。入力は1Vppの正弦波を10Hz~1MHzまで変化させました。

f:id:torusanada98:20200810211409j:plain

測定は入出力波形をオシロスコープで観測します。-60dBで振幅レベルが1/1000となり、それ以上の減衰量は正確な測定はできませんでした。結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200810211443p:plain

カットオフ周波数は約40KHzですが20KHzでも少しレベル低下しています。位相特性を考えると、DACユニットに内蔵する事はできないレベルですが、測定用フィルタということで割り切っています。次は最初に製作した2次のLPFを組み合わせてトータル6次のフィルタ特性を測定します。ジャンパピンを切り替えて初段LPFの出力が入力できるように切り替えましたが、接続の配線を忘れている事に気づき追加配線を行いました。

f:id:torusanada98:20200810211415j:plain

2つのジャンパピンの間を縦にジャンパ線を通して接続しています。測定再開です。精度を少しでも上げるため、入力信号を4Vppに上げてみました。結果は以下のとおりです。

f:id:torusanada98:20200810211437p:plain

100KHz以上の領域で減数量が大きくなっている事を確認しました。

DACユニット特性測定

前回の測定と同様に、ジグ基板を平衡不平衡回路基板の上に2段重ねに取り付けました。この基板の電源はユニバーサル電源から+/-15Vを供給しています。(本記事アイキャッチ写真参照)オシロスコープのch1にバランス出力をアンバランス変換した信号を、ch2にさらに6次のLPFをとおした信号を入力しています。信号はEIAJのテストディスクをCDプレーヤーで再生し、同軸デジタル信号として入力しています。

f:id:torusanada98:20200810211431j:plain

最初に1KHz 0dBの正弦波を再生します。

f:id:torusanada98:20200810211327j:plain

上がアンバランス出力で、下が6次LPF出力です。波形に違いはありません。両波形をFFT処理してみました。

f:id:torusanada98:20200810211331j:plain

f:id:torusanada98:20200810211336j:plain

上がアンバランス出力で、下が6次LPF出力のスペクトラムです。結果に差はありませんでした。次に1KHz-60dBの正弦波を再生してみました。

f:id:torusanada98:20200810211340j:plain

上の波形がアンバランス出力で下が6次LPF出力です。この違いを見ると6次LPFが強力に作用している事がわかります。さっそく両波形をFFT処理していみました。

f:id:torusanada98:20200810211344j:plain

f:id:torusanada98:20200810211349j:plain

先ほどと同様に上がアンバランス出力で、下が6次LPF出力のスペクトラムです。-60dBの再生信号はどちらも約-48dBとして観測されていますが、ノイズレベルが大きく異なり、アンバランス出力は-74dBで6次LPF出力は約-99dBです。6次のLPFが有効に働いている事が確認できました。この結果からDACユニットの-60dB再生時のダイナミックレンジは約110dBと言う事ができます。さらに再生レベルを下げてみました。1KHz -90dBの再生波形です。

f:id:torusanada98:20200810211353j:plain

アンバランス出力はノイズシェーピングによる高域のノイズで再生波形は完全に埋もれてしまっていますが、6次LPF出力は正弦波が視認できています。6次LPF出力をFFT処理してみました。

f:id:torusanada98:20200810211357j:plain

ちゃんと1KHzのポイントに信号が確認できます。-90dB再生時のダイナミックレンジは112dBと読みとれます。最後に無音時のスペクトラムを10MHzでサンプリングしてみました。

f:id:torusanada98:20200810211401j:plain

f:id:torusanada98:20200810211405j:plain

上のスペクトラムはアンバランス出力で、ノイズシェーピングで高域に拡散されたノイズスペクトルが観測できました。6次LPF出力は拡散されたノイズスペクトルがカットされている事がわかります。私のシステム(Mid/Highチャンネルともに真空管アンプ、本記事アイキャッチ写真参照)に組み込み事を考えると、DACユニット内に2次のLPFは入っているものの、LPFを追加するよりもノイズ垂れ流しの方が他の特性面を総合的に考えて良いと判断し、このままの構成で進める事にします。PCM1792のDレンジの仕様は132dB(9Vrms Mono)ですが、仕様で唱われている急峻なフィルタを使っていないので、112dBの結果確認でダイナミックレンジの検討は一旦終了とします。次回は待ちに待った音聴きを行います。

 

つづく(製作編29)