DACユニットの検討(製作編30)

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製作編30

音だしで確認されたノイズの対策検討を行います。

ノイズの原因

ノイズの発生は、ディスクがロードされたタイミングで発生する事がわかりました。その時の同軸デジタル信号を確認してみたところ、何か変化が起こっているようです。変化を捕らえるために、オシロスコープの掃引速度を変化させ、波形がロール状態となるほど遅くしたところ、現象が捕らえられました。

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ディスクがロードされたタイミングで、約0.4秒間波形の出力が止まっています。これではノイズの発生も致し方ありません。この状況をDAI IC wm8805はどのように判断しているのでしょうか?デジットキットの組立説明書に参考情報がありました。

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ロード直後の状態の各出力ピンの波形をモニタしてみました。(本記事アイキャッチ写真参照)上からTRANS_ERR、GEN_FLAG、NON_AUDIO、UNLOCKピンの結果です。

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それぞれの端子なりにエラーを検出している事が解りました。この信号をDAC基板に入力する事で、対策がとれないかPCM1792の仕様書を改めて確認してみましたが、そんな都合の良い入力はありませんでした。デジタル信号入力が途切れてノイズが出る事は当たり前と考えてこのままとする事も考えましたが、通常の操作中にノイズが発生する事は品位に関わると思い直して対策検討を継続する事にしました。

対策検討

こんな事もあろうかと、DACユニットの最終段の平衡不平衡変換基板にミュート用のリレー搭載を想定していました。

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写真は平衡不平衡変換基板の部品配置検討を行ったときのものです。リレーは12チャンネルアッテネータ製作時沢山買って在庫になっているもので、操作コイル12Vの2c仕様のものです。しかし、この基板の実体は以下のとおりで想定した場所にリレーを搭載する事ができません。

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考え方は良かったですが、詰めが甘かったです。無理やり乗せる方法を検討してみました。

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使用しない端子2本が基板外に出てしまいますが、何とか実装出来そうです。制御回路は左上のスペースに実装したいとおもいます。

回路検討

4本あるステータスフラグのうち、どの信号を使用するか決めます。各端子についてをLSIの仕様書で確認してみました。その結果GEN_FLAGが全エラーステータスを'or'している事が解りました。

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この信号を入力として使用する事にします。この信号は、エラー発生時にオンなので、使いづらいです。信号を反転させてリレー制御に使用する事にします。DAI基板には未使用の74HC04の回路がありますが、基板の改造は極力したくないので、手持ちの部品で回路を作成する事にしました。初めに使用するリレーの仕様を確認します。

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操作コイル電圧は12Vで、駆動電流は12.5mAです。最低でも9.6Vあれば動作させる事ができます。電源は他回路への影響を考慮して、マイコン駆動用の8V電源の元の全波整流回路から取る事にしました。

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実働時の電圧を測定したところ、12Vを少し切って11.4Vでした。まあなんとか成るでしょう。手持ちのトランジスタから操作コイルを駆動できそうな物を選定します。下表は東芝の2SC1815の絶対最大定格です。

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各数値は今回のリレーの操作コイルを駆動するのに丁度良い感じです。次回はこのトランジスタを使って検討用にミュート回路を設計してみます。

 

つづく(製作編31)