DACユニットの検討(製作編31)

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製作編31

手持ち部品でミュート実験回路を設計して動作確認をします。

ミュート回路

リレーは2cタイプをノーマリーオフで使用します。従って再生中は常に操作コイルに電流を流し続ける必要がありますが、選定したリレーは操作電流が12.5mA/chなのであまり影響はありません。ロジックできっちり回路を組みたかったですが、急遽作成する事にした為、手持ち部品で構成を考え、なお且つ終段の平衡不平衡回路基板の空きスペースがあまりない事から最低限必要な動作をする回路を検討しました。検討結果は以下のとおりです。

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初段のトランジスタは反転用です。負荷のコンデンサはミュート復帰にディレイを持たせる為の時定数決定用です。終段のトランジスタが操作コイルのオンオフ用で、エミッタのダイオードはオフ時に確実にトランジスタをカットオフするために入れています。

実験回路製作

基板は標準基板を使用します。入力は+12V電源とGNDおよびGEN_FLAGの3本なので、3極の端子台を取り付けました。また、検討で変更する可能性がある部品は2対のピンヘッダ間に取り付けます。

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回路が簡単な上、スペースが十分あるので実装は楽でした。

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時定数決定用のコンデンサは、動作確認の中で決定して取り付けます。まずはディレイ用のコンデンサなしで動作させてみました。写真上の波形はGEN_FLAGを想定した入力信号で、下の波形は終段トランジスタのコレクタ電圧です。Highでミュートします。ミュート立ち上がりの遅れは約2usです。

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次の写真はミュートオフ時の波形です。75us遅れてミュート解除しています。

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回路は想定どおり動作しているようです。

ミュート解除時定数

時定数を決める為に、GEN_FLAGの挙動を確認してみました。何度もディスクのローディングを繰り返してGEN_FLAGの暴れと復帰の状況をモニタします。写真は繰り返した中で復帰時の暴れが大きかった波形です。

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約1.3msごとにGEN_FLAGオンを繰り返しています。この確認結果からミュート解除ディレイのターゲットを約2msに決めました。手持ちのコンデンサをとっかえひっかえしてディレイが約2msとなる定数として1uFに決定しました。写真はミュート解除時の波形です。先ほどとは反対に上がトランジスタのベース電圧で、下が入力信号です。

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念のためミュートオン時のタイミングも確認しました。

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初段トランジスタのオン抵抗との時定数によってミュートオンの遅れが38usと大きくなりましたが、体勢に影響なしと判断しました。

ミュート実験回路2

今までの確認は、リレーの代わりに抵抗を負荷としていました。念のため負荷をリレーに交換して確認を行います。回路および基板は以下のとおりです。

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早速動作確認をします。

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上が終段トランジスタのコレクタ電圧で、下が入力信号です。ミュート解除ディレイは約1.2msに短くなってしまいました。リレー操作コイルの抵抗値は実験回路1の抵抗値の390Ωに対して約2.5倍高くなっている事が影響しているようです。次にミュートオンのタイミング確認をしました。

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操作コイルオフのタイミングでコイルの大きな逆起電力が発生しています。波高値は156Vに達しています。2SC1815のVCEOの絶対最大定格は50Vなので、この動作を続けたら確実に故障します。対策として手持ちの在庫からツェナーダイオードを選定して取り付けました。回路図は以下のとおりです。

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早々に動作確認をしてみました。

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約2.5ms間ツェナーダイオードによって逆起電力の電圧を約25Vに押さえる事ができました。ツェナーダイオードの動作状態が心配で、念のため保護時の電流値を観測しました。測定は直列に100Ωの抵抗を接続して両端電圧をモニタします。

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最大13mAの電流が流れますが、逆電流の絶対定格は50mAなので問題ありません。次回は実験基板をブレッドボードに取り付けて実動作確認を行います。

 

つづく(製作編32)