DACユニットの検討(製作編37)

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製作編37

前回実装したΔΣオーバーサンプリング倍率選択機能を使って各倍率時の特性比較を行い、ソフト製作を続けます。

特性比較

特性比較は、製作済みの平衡不平衡変換回路を使ってアンバランス変換し、2次x3段のアンチエイリアスフィルタを使って出力信号の確認を行います。前回の測定時と同様に、ジグ基板を最終段の平衡不平衡変換回路基板の上に取り付けました。

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この基板へは、ユニバーサル電源から+/-15Vを供給します。プレーヤーで1kHzの正弦波を再生し、ΔΣDACのオーバーサンプリングの倍率を切り替えてスペクトル波形の比較を行いました。下のグラフは、1KHz -90dB正弦波再生時のスペクトラムです。

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上が64fs時、下が128fs時ですが、結果に違いはありませんでした。DACユニット内の1次x3段+測定系の2次x3段のフィルタで64fs時のディザ信号の減衰が十分できている為と考えられます。違いを確認するために、測定系のフィルタを外してDACユニット内の1次x3段のフィルタのみで比較を行ってみました。下の画面は、1kHz-60dBの正弦波の再生波形です。

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上が64fs時、下が128fs時ですが128fs時の方がディザ周波数が高い為、1次x3段の軽いフィルタでもノイズ量が圧倒的に下がっています。真空管アンプにとって帯域外のノイズとは言え、気持ちのいいものではありません。次に無音次のノイズのスペクトラムを比較してみました。

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同様に上が64fs時、下が128fs時ですが、128fs時の方がノイズのピーク周波数が上がり、レベルが約15dB下がっている事がわかります。デフォルトを128fsとしましたが、問題なさそうです。1000Mマルチアンプシステムで音の比較を行う予定でしたが、作業の都合でこのままソフトを完成させる事にします。

位相切り替え機能

スイッチ1つで再生系の位相切り替えができるため、機能追加する事にしましたが、録音系の絶対位相の管理はどのようになっているかが気になります。機能実装した際の評価をどのようにしたらいいかネットで検索しましたが、明快な解説は見つかりませんでした。テストディスクとして、競技用のピストルの音を録音したものなど見つかりましたが、この機能確認でわざわざ購入するのももったいないと思い、手持ちのディスクで確認できないか検討してみました。

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残念ながら絶対位相確認に適した録音データはありませんでした。仕方がないので1KHz 0dBのトラックの出だしで判断できないか波形を確認してみました。

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初めて出だしの波形を見てみましたが、高周波成分を押さえるために徐々にレベルをあげていました。出だしの波形はマイナス側に振れています。この部分の観測で確認はできそうです。機能実装前に画面の検討をしました。表示が必要な項目は下記の3点です。

1)ΔΣDA変換のオーバーサンプリング倍率

2)絶対位相

3)アッテネーションレベル

これを2行16桁の枠に納めてみました。

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あまり考えても仕方ないので、当面これでいきます。イニシャル処理の中にデフォルト設定前提の表示を組み込みました。

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この時の画面表示はこんな感じになりました。

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こんなものでしょうか?次回は位相切り替えの処理を追加して動作確認を行います。

 

つづく(製作編38)