DACユニットの検討(製作編40)

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製作編40

ディスクロード時のノイズ対策のため、ミュートディレイタイムの再調整をします。最後に追加した機能に絞って1000Mマルチアンプシステムで音を聴いてみます。

ミュート回路

追加機能評価中に対策済のディスクロード後のノイズの再発を確認しました。追加対策としてミュートディレイタイムの再調整を行います。調整前にミュート回路をおさらいします。下の回路図のとおり最終段の平衡不平衡変換回路の出力をリレーでショートしてミュートさせています。

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ミュート状態でもオペアンプの負荷は1kΩとなるので問題ありません。リレーの制御回路は以下のとおりです。

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入力は、DAI_ICのGEN_FLAGです。同期が外れた等のエラー状態で'H'となります。ミュート解除のディレイタイムは1段目トランジスタのコレクタに接続されたコンデンサの容量で決まります。今回は基板実装状態でも容量の変更ができるように、ポストを追加してそこに必要なコンデンサを取り付けてディレイタイムの調整ができるようにします。ポスト追加改造の為に基板を取り外しました。

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端子が多いので、再組立時に楽ができるように信号入力はヘッダコネクタ側を外しています。ミュート回路の追加改造によってハンダ面が込み合っていましたが、なんとか3極のポストを取り付けました。早速そのポストに1uFを取り付けてトータルの容量を2倍の2uFとしました。

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タイミングの確認をしてみます。

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波形は黄色がGEN_FLAGで水色がリレーの操作コイル駆動電圧で、'L'で操作コイルに電流が流れます。写真上ががオリジナルのコンデンサ容量1uF時で、下が2uF時の波形です。容量アップによってディレイタイムが1.32msから2.68msに増えています。当面この状態で様子を見たいと思います。

音聴き2

追加した機能にポイントを絞って1000Mマルチアンプシステムで音を聴いてみます。最初はΔΣ変換のオーバーサンプリング倍率切り替えです。デフォルトを128fsとしていて、操作で64fsに切り替えができます。

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切り替えによって高域のノイズが以下のとおり変化します。

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上が128fs時で下が64fs設定時のディザ信号起因のノイズです。これらノイズはチャンネルデバイダの各チャンネルに入力され、Highチャンネルのみ通過して、ツイーター駆動用の真空管アンプに入力されます。この真空管アンプはそれ程広帯域ではないため、ノイズがツイーターに入力される事はありません。切り替えて音を聴いてみましたが、差はあまり感じられませんでした。強いて上げるとすれば、128fs時の方が高域の楽器の音がややマイルドに聴こえました。次は位相切り替えを行います。

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再生中に何度も切り替えして音を比較しました。楽曲によって差の印象が事なります。差が顕著な楽曲では、高域の楽器、例えば管楽器やハイハットの音の前後の定位が変わる印象を受けました。不思議な感じです。最後は-1dB~-3dBのアッテネータの確認をします。

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正直なところ音質の変化はあまり感じられませんでした。12chアッテネータの補完には十分使えます。但し精神衛生上、極力0dBで使いたいものです。これでブレッドボード版のDACユニットは一通りの動作確認が終わり完成しました。後は一旦ばらしてケースに納めます。今後は「DACユニットの製作」として記事を続けますが、次回からはバラック版のDACユニットの設計、製作&評価のまとめを行います。まとめ編は、隔日でアップロードします。

 

つづく(まとめ編1)