番外編40
前回に続き、製作したユニットのメンテナンスを行います。今回の対象ユニットはボリューム付きのBTLアダプタです。
ボリューム付きBTLアダプタ
オーディオ製作再開後、わりと初期に製作したもので、アンバランス信号をバランス変換するユニットです。(本記事のアイキャッチ写真参照)そのままパワーアンプに接続できるように出力段にボリュームを入れています。
途中で何度か設計変更を行ってきていて、現状のブロック図は以下のとおりです。
あまり良い構成ではありませんが、全アンプをディスクリート構成としたため実装スペースの都合で妥協したブロック構成となっています。電源もトランジスタを使ったリップルフィルタタイプですが完全ディスクリート構成です。
症状
最近あまり出番がありませんが、製作したユニットの評価時に発振器のアンバランス出力をバランス信号変換するために使っています。何れはカセットデッキを復活させて、昔のライブラリを今のシステムで聴くために使用したいと考えています。その評価時に気づきましたがRchが動作していませんでした。動作するLchも、ボリュームをMAXにすると発振します。この現象は完成直後に気づいていましたが、実用上問題がなかったので放置してきました。検討前に回路図を掲載します。
初めにRchの動作不良の原因を特定します。電源オンの状態で各部の電圧を確認したところ、すぐに原因がわかりました。-12V電源出力が出ていません。さらに電源回路を確認したところ、トランジスタのベースの基準電圧が出ていませんでした。基準電圧生成用のツェナーダイオード自体の故障かまたは定電流ダイオードの故障の可能性が高いです。さてどうしたものか・・・
検討
初めに電源の故障の原因がアンプ側にない事を確認します。Rchのアンプの電源を問題のないLch用の電源につなぎ変えて動作確認をしました。
Rchアンプには問題ない事が確認できました。但しLchと同様にボリュームをMAXにすると発振します。
発振対策
最初に発振対策を行います。発振波形は以下のとおりです。
振幅は1.2Vで約22MHzで発振していました。ボリュームは2KΩ品を使っていますが、内部アンプ出力(ボリューム入力)とボリューム出力間の抵抗値が約300Ω以下で発振するようです。消極的な対策ですが、アンプ出力に390Ωの抵抗を入れてボリュームMAX時も出力を少し分圧する事で対策をとる事にしました。
抵抗はボリュームの端子へ取り付けました。
この対策により、フルボリューム時に約1.5dB程度信号が減衰しますが目をつむる事にします。
電源修理
リップルフィルタ方式の電源を採用したのは、アンプの消費電流が常に一定(A級バランス動作)の場合、電源を能動動作(安定化)させない方が良いと考えた為です。しかしその後の検討で、このような構成の場合でも電源を安定化させた方が私の好みの音に近い事を確認しました。その電源が三端子レギュレータ方式でもです。ジャンクボックスを確認したところ、三端子レギュレータを使った左右独立+/-12V電源基板を見つけました。
BTLアダプタは今後もあまり出番がない事を考慮して、この基板に載せ替える事にします。搭載前に単体の動作確認を行います。
三端子レギュレータはJRC製のものが搭載せれていますが、マイナス電源の出力に100uF程度のコンデンサを接続しないと発振します。電源単体でも安定動作をさせる為に100u/16V品をハンダ面に追加しました。無事単体で正常動作する事が確認できました。次回はこの電源をユニットに組み込み調整・動作確認・評価を行います。