ユニットメンテナンス(番外編41)

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番外編41

引き続きボリューム付きのBTLアダプタのメンテナンスを行います。

電源交換

電源基板の動作確認が終わったので、ユニットの電源を交換します。使用したユニバーサル基板は異なるものの、取り付け穴の位置が同じで簡単に取り付ける事ができました。写真は電源配線と電源ランプ配線を行ったところです。

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この電源基板は、電源ランプの電流をGNDラインに流さない為に電源ランプの電源を+12V/-12Vからとっています。また左右チャンネルの電源の状態を揃えるために、両チャンネル用の電源にランプ用出力を設けています。どの程度影響があるかわかりませんが、未使用の電源ランプ用の端子台に直接LEDを接続しました。

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写真左上の赤のLEDが追加したものです。基板交換後のユニット内部は以下のとおです。

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再調整

基板交換後の電源電圧を念の為確認します。

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電源電圧が変わったので、アンプの再調整を行います。参考にアンプ回路を再掲載して、回路の説明を簡単に行います。

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入力はデュアルFET差動構成で、カスコードブートストラップ回路により初段の高域特性の改善を図っています。2段目は単純な差動アンプで、終段のバイアス回路をトランジスタで構成しています。終段はコンプリメンタリトランジスタのプッシュプル構成です。調整用のボリュームは3個あり、初段のボリュームは出力オフセット調整用で2段目のトランジスタのエミッタに接続されているものは、2段目のバイアス電流設定用です。2段目のコレクタ部のボリュームは終段のバイアス電流調整用です。3つのボリュームの調整は独立ではなく、他の調整結果に影響を与えるため順番に何回か調整をして追い込みます。正相アンプと反転アンプはシリーズに接続されているため、正相アンプ側から調整を行います。前の電源基板に接続された状態で調整されているので、まずは現状の下記ポイントの電圧の確認を行いました。

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Lchの正相アンプの確認結果は以下のとおりです。

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2段目差動アンプの電流バランスがやや崩れていて、終段のバイアス電流も若干小さくなっていました。VR2を調整して2段目の差動アンプの電流バランスを取り直し、VR3で終段のバイアス電流を調整します。出力オフセットが発生するので、VR1で調整しました。上記の調整を数回繰り返して調整完了です。調整後の各部電圧は以下のとおりです。

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続いて正相アンプの後段に接続された反転アンプの調整を行います。先ほどと同様に調整前の各部電圧を確認しました。

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正相アンプと同様に2段目の差動アンプの電流バランスが崩れていて、出力オフセット電圧の調整も必要です。上記と同様の手順で調整を行いました。結果は以下のとおりです。

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いい感じに調整できたとおもおいます。Rchも同様の手順で調整を行いました。調整後の各部電圧は以下のとおりです。

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全アンプともに、いい感じに調整ができました。

動作確認

動作確認を兼ねて周波数特性の測定を行います。発振器から2Vppの正弦波を入力して出力波形を観測しました。

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測定範囲は10Hz~1MHzです。2つのボリューム位置で測定を行いましたが結果に差がなかったので、結果の掲載はボリュームMAX状態のみとします。写真はHotとColdの1KHz波形の観測結果です。

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周波数特性の測定結果は以下のとおりです。

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1MHzまでフラットなので、結果としては面白味はありませんが、初期の目的どおり動作確認ができました。3回に渡って製作済みのユニットのメンテナンスを行いましたが、自作ユニットは手軽にメンテナンスと修理が行える事がメリットと改めておもいました。

 

おわり(番外編41)