無帰還広帯域真空管アンプ(設計編4)

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設計編4

前回の記事で決めた方針に従って加工図を作成して部品発注を進めます。

出力トランス配置変更

まずはトランスケースの寸法を再確認します。

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取り付け穴4点は、正方形の頂点配置となっているため、最悪後で向きを変える事ができます。選定しなおした東栄変成器の出力トランスOPT-5Pの寸法を確認します。

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トランスケースへの取り付けは、トランスの高さ方向がトランスケースの短手方向となります。東栄変成器のページに取り付け写真が掲載されていました。

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一旦取り付けの向きは現行機に合わせてシャーシ加工図を作成したいとおもいます。取り付け位置は、トランスケースが現行機よりも小さい事と、電源トランスを後方に10mm移動した事から、トランスケースおよび終段バイアス電流調整基板も後方へ10mm移動しました。上記を反映した加工図は以下のとおりです。

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部品表の作成

部品発注用に部品表を作成します。初めにシャーシ外装を含む電源部品表を作成します。チョークインプット電源の臨界電流を流す為の抵抗は、ラインナップを考慮して4.7kΩ/3W品と10kΩ/3W品を選定していましたが、実験用に5組注文する予定です。すでに注文済みの物も含めて改めて作成しました。

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合計24,197円でケース、電源トランス、チョークコイルで全体の89%の金額となっています。続いてアンプ部品表を作成します。終段の定電流源用の抵抗62Ωのラインナップがなかった為、在庫の特殊抵抗57Ωで代用する事にしました。これにより全抵抗は在庫で対応できるため、部品表から省いています。作成した部品表は以下のとおりです。

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合計26,210円です。こちらは出力トランスとそのケースおよび真空管で全体の約80%となりました。(在庫分は金額から除外)変更点を回路図に反映してみました。

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具体的な変更点は出力トランスおよび定電流源用抵抗の変更です。それでは部品表に従って発注を進めます。パスコンや端子台等の細かな部品は、必要以上の数量を注文してしまうので、部品代が部品表以上に嵩みます。海神無線様は日曜の注文だったためか、営業時間外との事で注文ができませんでした。明日改めて注文が必要です。一通りの注文を終えて一段落したところで加工図を見直してみました。

出力トランス再々検討

加工図を見直してみたところ、果たして出力トランスは同じ取り付け方法でいいのか気になり再確認をしてみました。下記が両トランスの写真です。

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左が今回選定した東栄変成器のOPT-5Pで、右が春日無線のKA-5-54Pです。コアの配置が異なる事から巻き線の向きも事なります。OPT-5Pは上下方向に磁界が発生しますが、KA-5-54Pは取り付けフランジ方向(写真の左右方向)に磁界が発生します。電源トランスの磁界は現状の取り付け方法の場合、前後方向に発生するため、OPT-5Pを取り付けフランジを後面に縦型取り付けを行うと、ハムに対して最悪の位置関係となってしまう事が判りました。現行機と磁界の向きを同じに配置する為には、取り付けフランジを前後方向として通常取り付けをする事になります。その為にはトランスケースをあきらめなければなりません。見栄えだけであればあきらめる事も考えられますが、シールド効果もある為、簡単にはあきらめられません。さてどうしたものか?現行アンプの構成に戻すとどうなるかまとめてみました。

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案4は案2と同一構成ですが、すでに追加で東栄変成器製の出力トランスの発注をかけてしまった為、残材が増えています。一頻り考えて、追加発注してしまったOPT-5Pは無帰還ヘッドフォンアンプの製作につかう事として、当初の予定どおり出力トランスをKA-5-54Pに戻してトランスケースSを追加発注する事にしました。やれやれ・・・。次回はこの方針変更を部品表および加工図に反映して製作の準備を行います。

 

つづく(設計編5)