無帰還広帯域真空管アンプ(製作編14)

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製作編14

実装完了したB電源回路の動作確認を行い、続いてC電源回路を実装して動作確認を行います。

B電源動作確認

動作条件は無負荷で、チョークインプット電源の負荷は20KΩとしています。緊張しつつ電源オン、何も起こりません。各部電圧は以下のとおりです。

整流後電圧:265V

出力電圧:173V

チョークインプット電源出力電圧:234V

観測ポイントは以下のとおりです。

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定電圧電源は無負荷、チョークインプット電源は低負荷の為か設計値よりも電圧が高くなっています。という事で、チョークインプット電源の負荷を2.45kΩとしてみました。

整流後電圧:264V

出力電圧:172V

チョークインプット電源出力電圧:157V

上記結果からチョークインプット電源の負荷電流は約64mAと実動作に近い値となっています。チョークインプット電源の負荷を上げても、全波整流出力電圧はほぼ変化がありません。チョークインプット電源は電源トランスに対して優しい事の裏付けだと言えます。最後にB電源回路の負荷を45.5kΩとしてみました。この条件はB電源の実動作に近い負荷となります。結果は以下のとおりです。

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整流後電圧:258V

出力電圧:169V

チョークインプット電源出力電圧:157V

念のため出力電圧をオシロで確認してみました。

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ch1は、B電源出力をACモードでリップル観測したものです。50mV/divレンジでリップルは観測できませんでした。ch2はB電源出力をDCモードで観測しています。特に問題はありませんでした。これで初段用B電源回路の動作確認は完了です。

C電源回路実装

続いてC電源(-5V)の実装を行います。残った基板スペースに三端子レギュレータを使った回路を実装します。電源回路図を参考に再掲載します。

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初めに大物部品の実装位置を決めます。対象部品は平滑用の電解コンデンサ1000uF/16Vです。基板をシャーシに取り付けて、電解コンデンサと取り付け位置を決めます。

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上記で決めた位置に電解コンデンサを取り付けて、整流回路を完成させます。次は三端子レギュレータを実装します。今後の配線を想定して取り付け位置を決めました。念のためクリアランス確認を行いました。

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問題なかったので、回路実装を進めます。部品点数が多くはないので、容易に全回路の実装が完了しました。

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入出力の端子台を取り付けナットと干渉しないように部品を配置したため、基板センターが空いています。

C電源動作確認

初めにユニバーサル電源から電圧供給して各部電圧を確認します。入力電圧は、AC6.2Vのピーク電圧に相当する-8.6Vとしました。

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せっかくなので電纜ランプ出力端子台にLEDを接続して点灯確認もしました。無事LEDも点灯し、出力電圧も問題ありませんでした。

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念のため、出力をオシロで確認して発振波形等のノイズがない事も確認しています。

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単体で問題ない事が確認できたので、シャーシに搭載して動作確認を行います。搭載するとこんな感じです。

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先に配線したB電源の端子台に配線接続すると、基板が撓んでしまい、うまくネジ締めができません。撓み防止の為に基板のオリジナル取り付け穴2カ所にスタッドを取り付けました。

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これでこころおきなく、基板端の端子台のネジ締めができます。本題のAC入力配線を行いました。回路の単体確認は終わっているので、出力に実動作時とほぼ同等の負荷となるように390Ωを接続し、平滑出力と電源出力にオシロのプローブをつなぎ電源オンしました。(本記事アイキャッチ写真参照)下記がオシロのモニタ結果です。ch1, ch2ともに1V/divとしてGNDを画面上端に設定しています。ch1が平滑信号ch2が出力電圧です。この結果から、三端子レギュレータの最低印加電圧は2.64Vと確認できました。

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仕様書上の出力電圧特性は以下のとおりなので、三端子レギュレータの印加電圧は低いですが問題ないと判断しました。

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真空管を装着し、ヒーター点火した際に改めて印加電圧を確認したいとおもいます。

 

つづく(製作編15)