無帰還広帯域真空管アンプ(製作編21)

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製作編21

実装完了したヒーターカソード耐圧保護回路の通電確認及び、単体の動作確認を行います。

通電確認準備

改めて回路図を掲載します。

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入力は初段の差動アンプのプレート電圧を前提としていますが、単体の通電確認ではその電圧に相当する高電圧を準備できません。仕方がないので、入力の分圧抵抗を変更して単体の通電確認で使用する電源(8V)を分圧する仕様に変更します。8Vを分圧してオペアンプの入力が約2.5Vとなるように分圧用に抵抗を選定します。

2.5 = 27k x 8 / (R + 27K)

R = 59.4k

手持ちの抵抗は47kの上が100kだったため、少し電圧はあがってしまいますが47kΩとします。基板に実装スペースがないため、ハンダ面に直接取り付けました。

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本来であれば、それぞれの抵抗は各初段真空管差動アンプのプレート端子に接続しますが、通電確認をシンプルにする為に全部まとめて回路の電源(8V)に接続する事にしました。

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通電確認は、まとめた部分をワニグチの電線でつかんで電源に接続します。

通電確認

ここから泥沼のはじまりです。通電確認にはいつものようにユニバーサル電源を使用しました。出力電圧8V、過電流保護を10mAにセットしました。

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初めにオペアンプとロジックICは挿さずに、基板上の電源回路の通電確認を行います。

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初めて使用する低損失三端子レギュレータですが、気にせずに電源オンしました。あらら、過電流保護が働いてしまいました。

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一旦電源をオフにして、ハンダ面を確認します。特に気になる点はありませんでした。念のため、過電流保護の電流値を20mA、30mAに変更してみましたが、状況は変わりません。そういえば、三端子レギュレータに付属の説明書に適切な位相補償をしないと発振するとの記載があった事を思いだし、念のため出力電圧の波形をモニタしてみました。(本記事アイキャッチ写真参照)発振はしていませんでした。ここまで確認して原因が見つけられないため、本格的に配線の見直しを行います。具体的には回路をブロック単位で切り離し、その時の症状の確認を行います。確認は以下のとおり行いました。

オペアンプの電源供給ラインをカット→変化なし

②リレー操作コイルラインカット→変化なし

トランジスタ保護ツェナーダイオード切り離し→変化なし

④半波整流回路入力カット→問題なし

⑤三端子入力ラインカット→問題なし

⑥基準電源用半固定電源ラインカット→変化なし

⑦三端子レギュレータ出力ラインカット→変化なし

上記確認内容を回路図上に記入してみました。

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これを見ると、三端子レギュレータ自体の不良としか思えません。予備のレギュレータは購入していなかった為、今週の作業はここまでか?と一旦考えたものの、三端子レギュレータ交換後に同様の症状に途方にくれている状況が頭によぎり、さらに確認を行うことにしました。

三端子レギュレータ単体確認

三端子レギュレータを基板から取り外し、単体で動作確認してみることにしました。交換の恐れがある部品はリードを曲げずに実装する事にしている為、容易に取り外す事ができました。

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この単体に必要最小限の部品を空中配線して動作を確認してみます。まずは発振覚悟でなにも部品をつけずに通電確認をしてみました。

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ユニバーサル電源の設定は変えずに、電源オン、症状は変わりません。三端子レギュレータ単体のみの配線なので、配線間違いはありません。そこで過電流保護の電流値を少しづつあげていきました。設定が60mAとなった時点で出力に発振波形が現れて、過電流保護が働かなくなりました。やれやれ、どうやらこのレギュレータは電流制限値が小さいと正しく起動しないようです。改めて発振防止部品を空中配線で取り付けました。

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上記同様の条件で電源オンしたところ、発振が止まり5Vの出力が得られる事が確認できました。たかが三端子レエギュレータですが、ここまでの確認でかなり時間をロスしてしまいました。次回はレギュレータを再度基板に実装して、通電確認を進めます。

 

つづく(製作編22)