無帰還広帯域真空管アンプ(製作編29)

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製作編29

引き続き通電確認を行います。

耐圧保護回路基板確認

耐圧保護回路基板は、単体で通電確認を行っていたので確認を一番最後にしました。電源オンオフの度に、リレーの動作音がしているので問題ないと思います。確認項目は半固定抵抗をまわして、基準電圧が調整できる事です。

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写真下右側の2極の端子台脇に基板取り付け直前に確認用の端子(リード)を設けました。この端子電圧をモニタしながら写真左側の半固定抵抗を回してみます。マイナスドライバを半固定抵抗に当てると、リレーがカチカチと誤動作します。最初はノイズによる誤動作を疑いましたが、何回も調整を繰り返しているうちに、ドライバを離した状態で、リレーがオフする事が確認できました。基板の単体確認をしていながらこのざまです、やれやれ。この基板へのヒーター配線が大変だった事が頭をよぎりましたが、一旦基板を取り外しました。

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半固定抵抗の周りのハンダを確認したところ、原因がすぐにわかりました。写真は電源接続のラインをドライバでつついた状態です。見事にハンダがはずれて配線が横にずれています。

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ハンダをやり直して、再度基板と取り付けました。3極の端子台に4本の電線を接続しますが、(上の上の写真参照)4本とも黒の被覆電線にしてしまいました。電線を取り外す際に右と中央の端子台に接続する電線にセロテープを使ってタグを付けています。ヒーター配線も無事終わり、基板の再取り付けが完了しました。早々に電源オンして確認を行いリレーの誤動作が改善している事を確認しました。とりあえず、基準電圧は2.6Vにセットしました。

終段通電確認

次は真空管を取り付けて通電確認を行います。通常は初段から確認を行うところですが、初段は何か起こりそうなので、先に終段の確認を行います。ソリッドステートの帰還アンプとは違い、各段を独立して動作させる事ができるので通電確認のハードルが少し下げられます。まずは終段の6N6Pを取り付けました。

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真空管頭頂部(ゲッター部)が汚れていたので、綿棒にアルコールを浸して拭いてみました。

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写真では解りにくいですが、きれいになりました。この部分の通電確認のリスクは小さいと考えて、左右両チャンネル同時に行います。まずは異常事態に対応できるように、シャーシ内部にアクセスできる状態で電源オンしました。ヒーターが暖まると、定電流源回路のLEDが点灯しました。

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ざっと、各部の電圧を確認したところ問題なさそうだったので、一旦電源を切ってバイアスのバランス調整用半固定を調整できるように、上下を反転して正位置に置き直しました。改めて電源オンして、半固定抵抗を調整して終段のバイアス電流バランスをとります。

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最初にR-chから行いました。調整用のシートは、製作編25で作成済みでしたが、シートの左列をチップジャックの色に変更しました。調整結果は以下のとおりです。

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調整回路は設計どおり機能し、正しく調整ができました。調整後のボリューム位置は写真のとおりです。

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黒マジックがセンター位置です。センターを12時とすると約2時の位置となっています。続いてL-chも調整します。赤-緑間の電圧はちゃんととれましたが、赤-白間の電圧が正しくとれません。一旦調整を中断して、シャーシ内を確認します。原因は、中継用のLラグのチップジャック配線のハンダ不良でした。

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写真は、わかりやすくするために電線を端子の穴から引き抜いた状態です。ハンダをやり直して、再度調整を行いました。調整結果は以下のとおりです。

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L-chのボリューム位置はこんな感じです。

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次回も引き続き通電確認を行います。

 

つづく(製作編30)