無帰還広帯域真空管アンプ(製作編31)

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製作編31

初段の電源電圧の見直しを行って初段の通電確認をやり直します。引き続きアンプの動作確認を行います。

電源設計変更

電源の設計変更を行うに当たり、現行の電源の回路図を再掲載します。

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初段用電源回路は、回路図の一番下のブロックです。電源電圧はR4とR5の分圧比で決まります。このブロックの入力電圧は254Vなので20V程度電圧を上げる事は容易です。現状負荷状態の出力電圧が約170Vなので、これを20V上げて190Vに変更しますが、具体的にはR4を変更して電圧を調整します。抵抗値を算出してみます。

200k / (200k + R4) x 254 = 190

R4 = 67k

抵抗の在庫を確認したところ1/4W品ですが、47KΩと20KΩがありました。変更後の200KΩ抵抗の消費電力が0.18Wなので1/4W品で問題ありません。電源基板を取り外して、設計変更を行います。基板の実装状態は以下のとおりです。

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製作の当初で電源の設計変更を行ったため、基板サイズを変更しました。この為基板の固定は変則的で、写真センターの2本で固定しています。わりと簡単に取り外す事ができました。

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R4を2本の抵抗の直列に変更しましが、幸い簡単に改造する事ができました。

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写真センターの2本の抵抗です。改めて電源基板を取り付けて通電確認を行います。

初段再通電確認

初めに配電用の平ラグへの接続を外して無負荷状態で確認を行います。出力電圧は197Vでした。まずまずな結果ではないでしょうか?改めて修正版の電源回路図を掲載します。

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確認時に外した接続を元に戻して通常負荷状態で改めて出力電圧を確認しました。結果は約190Vです。設計どおりとなっていました。この状態で初段真空管の各端子電圧の確認を行います。結果は以下のとおりです。

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問題としていた初段差動入力用真空管のプレート電圧は、それぞれ約20Vづつ高くなり、最低でも56Vかかっている事が確認できました。確認の中で頻繁に電源オンオフを繰り返しましたが、電源オン直後に数回耐圧保護回路のリレーの動作音が聞こえ、過渡状態で保護回路が正常に働いている事も確認できました。

アンプ動作確認

動作確認は、アンプ出力に8Ωのダミー負荷を接続した状態で正弦波を入力して応答を確認します。写真は以前に作成した8Ωのダミー負荷です。

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入力信号は、発振器出力を先日修理したバランス変換ボリュームユニットに入力してバランス出力に変換して入力します。

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最初にR-chから確認を行います。入力電圧はHot、Coldともに200mVppの1KHz正弦波としました。結果は以下のとおりです。

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写真上がHotの、下がColdの入出力の波形モニタ結果です。どちらも同相同士で比較しているので、入出力間の位相は合っています。入力電圧200mVppに対して、出力はどちらも1.92Vppなのでゲインは19.6dBです。設計上のゲインは以下の表の通りなので、ほぼ設計どおりの動作をしていると考えられます。

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続いてL-chも同様に波形モニタしてみました。結果は以下のとおりです。

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写真上がHotの、下がColdの入出力の波形モニタ結果です。なんだかすごく変です。同相同士の波形をモニタしているにもかかわらずHot波形は入出力間で逆相動作しています。レベルもおかしいです。いろいろ信号を当たってみたところ、出力トランス二次巻き線の中点のGND接続が不良となっている事がわかりました。中点のGND接続をやり直して再度波形のモニタを行いました。結果は以下のとおりです。

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出力電圧がR-chよりも小さく1.46Vppしか出ていません。ゲイン換算で17.3dBです。一難去ってまた一難です。ミスの連発で疲れ切ってしまったので詳細の検討は次回に行います。

 

つづく(製作編32)